2005 Fiscal Year Annual Research Report
ルーメン細菌の代謝制御によるルーメンアシドーシスの防御および発酵の改善
Project/Area Number |
16780190
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
浅沼 成人 明治大学, 農学部, 講師 (50366902)
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Keywords | ルーメンバクテリア / ルーメンアシドーシス / Streptococcus bovis / LuxS / クォーラムセンシング / 細胞間情報伝達 |
Research Abstract |
ルーメンバクテリア、Streptococcus bovisにおけるオートインデューサー合成系酵素遺伝子luxSの解析とその転写調節 S.bovisは濃厚飼料給与時にルーメン内で急増し、乳酸生成を増加させてルーメンアシドーシスを引き起こすことがあるので、本菌の過増殖を抑えることが望ましい。細胞密度感知分子であるオートインデューサー2(AI-2)は、種々の菌から検出されており、菌細胞間の情報伝達を行なっていると考えられている。AI-2は、種々の遺伝子の発現に関与し、増殖を制御することも知られている。そこで、S.bovisにおけるAI-2の役割を明らかにするために、AI-2合成系の中心的な酵素であるLuxS AI synthaseをコードするluxS遺伝子の転写と増殖の関係について調べた。S.bovisのluxS遺伝子は486bpであり、単シストロン様式に転写された。luxS遺伝子の転写開始部位は1箇所であった。LuxS AI synthaseの推定アミノ酸配列は、他のStreptococcus属のものと高い相同性を示した。菌体内のluxS-mRNA量は対数増殖初期に大きく増加し、対数増殖中期以降には減少した。菌細胞へのグルコースの供給、または、増殖速度が低下する前にluxS-mRNA量は大きく低下した。luxSの転写は菌細胞密度とは直接は相関しておらず、菌を最大増殖速度に維持した場合にはluxS-mRNA量は高いままであった。従って、S.bovisにおけるAI-2活性は培養条件に応じて菌の生理状態や代謝を調節するためのシグナルとして作用する可能性がある。今後は、本菌におけるLuxS AI synthaseの役割や、AI-2合成の調節について解析する必要があろう。
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