2004 Fiscal Year Annual Research Report
イノシシの行動制御技術開発のための嗅覚および聴覚刺激を用いた基礎的研究
Project/Area Number |
16780191
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
江口 祐輔 麻布大学, 獣医学部, 講師 (60367240)
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Keywords | イノシシ / 鳥獣害 / 超音波 / 忌避 / 行動 |
Research Abstract |
我が国において野生鳥獣による農作物被害が各地で発生しており、近年は獣類による被害の増加傾向が強く、とりわけイノシシによる被害の拡大は驚異的である。野生鳥獣による農作物被害を防ぐためには、対象となる動物の生態および行動を把握し、新たな防除技術の開発や総合的対策の展開を図る必要がある。被害防止技術を確立するためには対象となる動物の嗜好性や忌避性についても把握する必要がある。そこで、本研究は、超音波による音刺激に対するイノシシの行動を調査し、誘因性と忌避製について検討し、イノシシの行動制御技術開発のための基礎的知見を得ることを目的とした。個別の施設に収容している6頭のニホンイノシシの飼育個体および5頭の群(オス1頭、メス4頭)を供試する。イノシシの行動をビデオカメラで撮影し、イノシシが落ち着いている状態を確認後、超音波発生装置から音刺激を発し、イノシシの反応を記録した。超音波域の音刺激を3段階(20、30、40kHz)に分け、ラテン方格法によってイノシシに音刺激を提示した。その結果、全てのイノシシが20および30kHzの音刺激に対して顔を上げる、耳をそばだてる、目線を変える、音源に近づく行動を示した。40kHzにおいては3頭(メス2頭、オス1頭)において反応を示したが、他の音域に比べて反応が微弱であり、再検討する必要が認められた。また、2頭の雌イノシシは超音波刺激に対して緊張し、後退する強い警戒行動が発現した。よって次年度は30kHz以上の周波数に対する詳細な検討(装置作成中)と野生個体に対する反応を調査する。 また、本年度予定されていた雌ブタ由来の物質(発情および非発情時の尿)である嗅覚刺激に対する反応については供試予定だったブタが体調を崩し死亡してしまったため、次年度の早期に行うこととした。 (成果の公表を見合わせる必要アリ)
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