2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16780200
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
北村 直樹 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助手 (80301951)
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Keywords | 知覚神経 / パッチクランプ / 活動電位 / 神経因性疼痛 / 神経成長因子 |
Research Abstract |
神経成長因子(NGF)が神経原性疼痛の発症に関与していることが示唆されている。しかし、NGFが直接,背根神経節(DRG)ニューロンに作用し継続的な自発性の活動電位が発生した、という報告はなされておらず、DRGにおけるNGF発現量増加とDRGニューロンの自発的な発火との関連は不明瞭である。本研究では、NGF存在下で継続的に培養した成熟ラットDRGニューロンの興奮性の変化についてパッチクランプ法を用いて検討した。 NGF存在下で培養したDRGニューロンの中には自発性のスパイク反応が見られるニューロンがあり、TTXとLidocaineが全か無かの法則に従った抑制様式を示したことから、細胞全体の自発性の活動電位を記録していると考えた。これらのニューロンのうち75%で、ホールセル電位固定記録下で自発性に発生する内向き電流(I_<sp>)が記録された。このI_<sp>に対してもTTX、Lidocaineが全か無かの法則に従った抑制様式を示したこと、K^+チャネル抑制薬によりI_<sp>の持続時間が延長したことから、I_<sp>が電位固定が不十分な局所で発生する活動電位によるものであることが示唆された。I_<sp>はアウトサイドアウトパッチ記録下でも観察された。アウトサイドアウトパッチ記録下のI_<sp>のkineticsや薬理学的な性質はホールセル記録下のI_<sp>の性質に一致した。すなわち、ホールセル記録時には電位固定できていた電極先端周囲の細胞膜が、アウトサイドアウト記録への移行時に電位固定し難い形状に変形し、活動電位を発生するようになったものと考えられる。以上の結果から、NGF存在下でDRGニューロンを培養することによって細胞膜の興奮性が増大し、細胞膜の局所で自発的に活動電位が発生するようになっていることが示唆された。
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