2004 Fiscal Year Annual Research Report
鳥類松果体をモデルとしたリズムの発信機構と光受容機構の分子細胞学的研究
Project/Area Number |
16780205
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
中原 桂子 宮崎大学, 農学部, 助教授 (90315359)
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Keywords | 生体リズム / 視交叉上核 / ニューロメジンU / 生体時計 |
Research Abstract |
(1)摂食機構とリズム機構の共役に関して検討した。給餌時間を毎日定刻の2時間のみに制限すると、ラットは餌の来る時刻を予知し、予知行動を示すようになった。給餌時刻前後の脳内cFosの発現部位を調べた結果、視床室傍核に発現の差を認めた。そこで、この部位を電気破壊すると、予知行動のみ消失した。また、視床室傍核を破壊したラットでは、血中コルチコステロンの制限給餌直前のピークが形成されなかった。 (2)NMUが生体時計部位の視交叉上核(SCN)に局在し、時計機構へ関与している可能性を昨年明らかにしたが、今回、NMUがどのように時計機構へ関与しているかを解析した。まず、視交叉上核のNMUmRNAの発現量を調べた結果、CT4-8時をピークとするサーカディアンリズムを示すことが判明した。自由継続リズムを示すラットに、NMUを脳室内投与すると、投与時刻依存性に位相変位を起こした。CT6時投与で位相前進、CTO-3時で位相後退が認められた。また、NMUの投与後、SCNにおいてcFosの発現を認めた。さらに、SCNにNMUの受容体(NMU-R1,NMU-R2)mRNAの発現を認めたが、両者のmRNAの発現は位相の異なる日内リズムを示した。CT6時でのNMUの脳室内投与はSCNのc-fos,NGFI-A,NGFI-B,およびJunBの発現を上昇させた。この時、時計遺伝子Per1の上昇が認められPer2は変化しなかった。 以上の結果、視床室傍核が制限給餌で発動する予知行動に関与していることを示唆する。また、NMUはSCNの時計機構に対してオートクライン/パラクライン的に転写因子、時計遺伝子に作用し、時計の調節を行っているものと推察される
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