2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16780206
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
木崎 景一郎 岩手大学, 農学部, 助教授 (40337994)
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Keywords | ヘパラナーゼ / 心肥大 / 細胞外マトリックス / ヘパラン硫酸プロテオグリカン |
Research Abstract |
ヘパラナーゼ(HPA)はヘパラン硫酸(HS)プロテオグリカンのHS鎖を特異的に分解するエンドグリコシダーゼである。HS鎖には種々のヘパリン結合性増殖因子群(HB-EGFs)が結合・貯蔵されていることから、HPAは細胞外マトリックスの崩壊を生じさせると共にHB-EGFsを遊離させ、癌細胞の浸潤・転移などに関与することが知られている。本研究は、HPAの心肥大発症シグナル伝達への役割を明らかにすることによって、心肥大に基づく心血管系疾患のさらなる病態解明及び治療薬開発に対して新たな知見を提供することを目的とするものである。 イソプロテレノール頻回投与による心肥大モデルラットを作製した。心室重量及び組織学的解析により肥大が確認された。さらに摘出左心房標本を用いて収縮能を検討したところ,G蛋白質共役型受容体アゴニストによる反応性の低下が認められたことから,機能低下も生じていることがわかった。膜結合型HB-EGFsを遊離させるマトリックスメタロプロテアーゼ-2及び-9の心室における発現は,遺伝子,タンパク質及び活性レベルで増加していた。一方,HPA遺伝子の発現は肥大に伴い増加し,さらにウエスタンブロット法による解析ではタンパク質レベルでも増加していた。現在、細胞培養系における情報伝達機構を検討する実験に着手しているが,培養細胞が安定的に供給することが難しく,計画が少々遅れている。また,株化細胞を利用した3次元細胞培養システムでスフェロイド作成を試みている。 さらにイヌの心疾患モデル(僧帽弁閉鎖不全症)におけるHPAの発現動態を調べるために,イヌHPA遺伝子のクローニングを行った。イヌHPA cDNAは1632塩基の翻訳領域を持つことが明らかとなり,アミノ酸レベルでヒト,ウシ,マウス及びラットと各々79.9%,77.8%,76.3% and 75.3%の相同性を保持していることが明らかになった。
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