2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16780206
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
木崎 景一郎 岩手大学, 農学部, 助教授 (40337994)
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Keywords | ヘパラナーゼ / 心肥大 / 細胞外マトリックス / ヘパラン硫酸プロテオグリカン |
Research Abstract |
ヘパラナーゼ(HPA)はヘパラン硫酸(HS)プロテオグリカンのHS鎖を特異的に分解するエンドグリコシダーゼである。HS鎖には種々のヘパリン結合性増殖因子群(HB-EGFs)が結合・貯蔵されていることから、HPAは細胞外マトリックスの崩壊を生じさせると共にHB-EGFsを遊離させ、癌細胞の浸潤・転移などに関与することが知られている。本研究は、HPAの心疾患発症シグナル伝達への役割を明らかにすることによって、心血管系疾患のさらなる病態解明及び治療薬開発に対して新たな知見を提供することを目的とするものである。 昨年度に引き続き、イヌの心疾患モデル(僧帽弁閉鎖不全症)におけるHPAの発現動態解析の基礎的知見を得るため、イヌHPAの解析を行った。健常イヌの右心房、右心室、左心房及び左心室においてHPA遺伝子の発現はほとんど認められなかった。肝臓や腎臓などの他の主要臓器においても同様な結果であったが、胎盤においては非常に高い発現が認められた。in situハイブリダイゼーション法によりイヌ胎盤におけるHPA産生細胞の同定を試みたところ、胎盤迷路部の母体側血管内皮細胞にHPA遺伝子の発現が認められた。さらに胎盤粗抽出液中のヘパラン硫酸分解活性を調べたところ、胎盤にはスラミン(ヘパラナーゼ阻害剤)によって阻害されるヘパラン硫酸分解活性、すなわちHPA活性が存在することが明らかになった。 HPAのシグナル伝達への関与に関する実験では、G蛋白質共役型受容体(GPCR)アゴニスト投与と同様に心疾患を誘発し、さらには一部のGPCRに直接的に相互作用すると考えられているドキソルビシンを使用して実験を行った。ドキソルビシン(25mg/kg)をマウスに単回投与後、心エコーにて心機能を評価し、心室におけるHPA及び膜結合型HB-EGFを遊離させるマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)-2及び-9の発現を調べた。ドキソルビシン投与2日目以降、左心室拡張末期径が有意に低下し、投与4日目では左心室収縮末期径も低下した。ドキソルビシン投与によりHPAの発現に変化は認められなかったが、MMP-2の発現は投与1日及び2日目で有意に増加していた。MMP-9については投与2日から増加した。また、GPCRアゴニスト投与と同様な心肥大を発症する植物アルカロイド・モノクロタリンについても同様な実験を行い、HPAの心疾患シグナル伝達への関与を検討している。
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