2004 Fiscal Year Annual Research Report
暑熱に起因する酸化ストレスがウシ初期胚に与える障害の評価と制御
Project/Area Number |
16780209
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Research Institution | 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構 |
Principal Investigator |
阪谷 美樹 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 九州沖縄農業研究センター・畜産飼料作研究部, 研究員 (00355687)
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Keywords | 暑熱 / ウシ / 体外受精胚 / 酸化還元状態 |
Research Abstract |
体外受精胚を用い、高温曝露と胚の酸化還元状態について蛍光試薬を用いて単一胚レベルでの微小高感度評価を行った。高温感受性が高く、高温処理により発生初期の発生低下が認められる受精後2日目に6時間の高温曝露を行うことにより、高温曝露直後の胚の活性酸素類の量が通常培養胚と比較し有意に増加した。一方で活性酸素を除去する機能のある還元物質グルタチオンは高温曝露直後には有意に減少し、高温曝露に伴う活性酸素の増加とその除去機能の低下が胚発生の低下に関わる可能性が示唆された。これらの実績を第97回日本繁殖生物学会にて口頭発表した。 さらに初期胚レベルでの遺伝的耐暑性の可否を解析するために、高温感作初期胚の品種と発生能の関係を評価した。卵子には高温感受性の高いホルスタイン種、中程度と言われる黒毛和種の計2種の屠場材料を用い、精子にはホルスタイン種、黒毛和種、さらに高温環境に対し耐性があると言われるブラーマン種の計3種を用いた。これらの組み合わせにより計6種類の体外受精卵を作成し、高温曝露実験を行った。高温曝露時期は、以前の報告にしたがい高温感受性が最も高いと言われる受精後2日目に6時間行った。この組み合わせ実験により、ホルスタイン精子と受精した胚は、他の2種の精子と受精した胚と比較し、発生変化率(通常培養区に対する高温曝露区の発生率の割合)が有意に低下したが、同一精子種では卵子の違いによる差は認められなかった。胚盤胞における総細胞数は高温環境により減少する傾向が認められたが、TE/ICM比に差は認められなかった。以上より、ウシ体外受精卵の高温感受性には精子側の要因が関わっている可能性が示唆された。これらの実績を第104回日本繁殖生物学会にて口頭発表を行った。
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