2004 Fiscal Year Annual Research Report
獣医感染症における細胞性免疫測定系の確立とその応用
Project/Area Number |
16780212
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
前田 健 山口大学, 農学部, 助教授 (90284273)
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Keywords | 馬ヘルペスウイルス1型 / ICAM-1 / LFA-1 / 細胞性免疫 / 猫ヘルペスウイルス1型 / gC / 馬ヘルペスウイルス4型 / 猫伝染性腹膜炎ウイルス |
Research Abstract |
本研究では獣医領域における細胞性免疫の測定系を確立するために猫と馬に感染し、細胞性免疫がその病態に重要であると考えられている猫ヘルペスウイルス1型、猫伝染性腹膜炎ウイルス、馬ヘルペスウイルス1型および4型を中心に細胞性免疫の測定系を確立する予定である。本年度は、その第一段階として猫ヘルペスウイルス1型および馬ヘルペスウイルス1型と4型、猫伝染性腹膜炎ウイルスの性状解析を行った。その結果は 1)馬ヘルペスウイルス1型感染における細胞性免疫の重要性を確認するため、リンパ球表面と抗原提示細胞に発現しているICAM-1とLFA-1の発現をEHV-1感染細胞で確認した後、ICAM-1とLFA-1に対するモノクローナル抗体を用いてEHV-1感染前に両抗原の活性を阻害した結果、抗体処理マウスは有意にコントロールマウス群に比べてEHV-1による病態が悪化した。このことは細胞性免疫がEHV-1による病態に関与していることを強く示唆するものである。 2)猫ヘルペスウイルス1型の主要な細胞性免疫誘導抗原であると考えられるエンベロープ糖タンパクgCにおいて変異を有する2株の野外株の同定に成功した。本ウイルスと既存の株の比較を行うことにより、gCにおける変異領域の重要性を検討することが可能になる。 3)馬ヘルペスウイルス4型の主要な抗原であり、液性免疫の誘導能が非常に高い糖タンパクgGの2種類のエピトープの同定に成功した。これは、細胞性免疫の誘導とともに液性免疫の誘導を比較する際に重要なツールとなると考えている。 4)猫伝染性腹膜炎ウイルスの細胞性免疫誘導の標的となると考えられるヌクレオカプシド蛋白をコードするDNAワクチンをネコに接種した後、ウイルスで攻撃試験を行った結果、感染初期に有意な防御効果が認められた。このことより、ヌクレオカプシドプロテインに対する細胞性免疫が、ウイルスの防御に重要であることが示された。
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Research Products
(4 results)