2005 Fiscal Year Annual Research Report
獣医感染症における細胞性免疫測定系の確立とその応用
Project/Area Number |
16780212
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
前田 健 山口大学, 農学部, 助教授 (90284273)
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Keywords | ウマヘルペスウイルス / イヌヘルペスウイルス / イヌジステンパー / 培養細胞 / SLAM |
Research Abstract |
本年度は細胞性免疫検出にはMHCが一致した細胞が必要であることから、イヌおよびウマについてそれぞれ初代培養細胞から不死化細胞の作出を試みた。 1)ウマヘルペスウイルス1型および4型を効率よく増殖させるための細胞株の作出に成功した。これまでは10代までしか継代出来なかったものが現在で36代まで継代が可能となり、自然宿主ではない動物由来培養細胞では変異が起こりやすいといわれているEHVの自然宿主細胞を用いた実験が飛躍的に進むことが期待される。 2)イヌの培養細胞としてMDCK細胞が良く用いられているが、MDCK細胞は特殊な細胞であるため、ウイルスの増殖等には扱いにくい場合があった。そこでイヌ由来の培養細胞系の作出を試みた。その結果、現在、継代42代目でも増殖し続けている培養細胞を確立できた。これにイヌヘルペスウイルスを感染させ、その増殖を検討した結果、非常に優れた増殖性を示し、イヌのウイルスに関する研究に有用であることが示された。 3)イヌにとって最も重要な疾患の一つであるイヌジステンパーウイルスCDVに対する効率のよい培養細胞はあまりない。そこで、CDVの宿主の一つであるネコ由来細胞にCDVのレセプターであるSLAMを恒常的に発現する細胞を作成した。CDV野外分離株を感染した結果、ネコ由来細胞には見られなかった多核巨細胞が出現した。今後は2)で作出したイヌ由来培養細胞で同様の細胞の作出を試みる予定である。 本研究により初代培養細胞からの持続的維持が可能な培養細胞作出系を確立できた。これにより細胞性免疫の基本となるMHCの一致した標的細胞の確立が可能となり、今後の獣医領域における細胞性免疫研究の基礎が確立された。
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Research Products
(3 results)