2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16780217
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
田中 知己 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 助教授 (20272643)
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Keywords | 栄養 / 繁殖 / 卵巣 / 黄体形成ホルモン / 脂肪酸代謝 / ストレス / プロジェステロン / シバヤギ |
Research Abstract |
本年度は低栄養における黄体形成ホルモン(LH)分泌の抑制には体内における脂肪酸代謝が関与しているという作業仮説を検証した。また、低栄養条件下とストレスとの関係を調べるため、ストレス時に放出される低レベルのプロジェステロン(P)が繁殖機能に及ぼす影響を検討した。 1.LH分泌における脂肪酸代謝の関与を解析する目的で、シバヤギに脂肪酸β酸化阻害剤であるMercaptoacetic acid (MA)を投与し、通常給餌および絶食条件下におけるパルス状LH分泌および性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)に対するLH分泌反応性の変化を調べた。卵巣を摘出したシバヤギにMA溶液(10mg/kg)または生理食塩液を4時間間隔で24時間投与した後、10分間隔で6時間の頻回採血を行い、パルス状LH分泌を調べた。さらに、MA投与開始後30時間にGnRH類縁物質(酢酸フェルチレリン10μg/頭)を静脈内投与し、血中LH濃度の変化を比較した。その結果、通常給餌および絶食の両条件下においてパルス状LH分泌の頻度およびGnRH類縁物質に対するLH分泌反応性にMA投与群および対照群の間で有意な差は認められなかった。この結果から、ヤギにおける脂肪酸代謝によるエネルギー供給機構は、LH分泌の調節に関与している可能性は低いと推測された 2.シバヤギを2群に分け、コントロール群にはPを含有しないシリコンパケットを、処置群には低レベルのP濃度となるように低用量P含有パケットを15日間皮下に留置し、卵巣の変化および血中性ステロイドホルモンの変化を調べた。その結果、処置群において、血中P濃度はパケット留置期間中低レベル(2ng/ml前後)で推移し、6頭中3頭で卵胞直径が10mmを超え嚢腫化した。以上のことからストレス時に放出される低レベルのP濃度は卵胞の嚢腫化を誘起することが示唆された。
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Research Products
(1 results)