2004 Fiscal Year Annual Research Report
小動物臨床における遺伝子診断法の確立と高度獣医療の実践
Project/Area Number |
16780219
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
遠藤 泰之 鹿児島大学, 農学部, 講師 (90332600)
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Keywords | 小動物 / 遺伝子診断 |
Research Abstract |
小動物臨床においては正確かつ迅速な診断は必要不可欠である。血液検査や生化学検査、ならびに免疫学的検査は臨床上様々な疾患を診断するうえでは非常に有用な検査法ではあるが、生体の疾患以外の原因で評価を難しくしている場合や、あるいは検査法の感度の限界がある。このような問題を解決するために、遺伝子診断を行うことは非常に有用であると考えられる。遺伝子解析を基本とした診断法の確立は、非常に微量な病原体の検出や、腫瘍性疾患における遺伝子発現の変化の観察から悪性度ならびに予後の判定、さらに遺伝子異常に伴う薬剤感受性の違いや、先天的遺伝病の早期発見に応用可能であると考える。そこで本研究は、臨床上しばしば診断や治療薬の選択、ならびに予後の判定が困難となっている感染症、腫瘍、ならびに遺伝性疾患に着目し、分子生物学的な手法により臨床応用可能な形での診断法を確立するとともに、病態解析を行うことを目的とした。 そこで平成16年度ではこれらの項目における検査系の確立を試みてきた。現在までに犬および猫の感染症であるバベシア症、レプトスピラ症、ならびにヘモバルトネラ症についてPCRによる検査系を確立し、実際の動物病院に来院する症例について応用している。また腫瘍の遺伝子診断に関しては、腫瘍の転移に関わっていると考えられる犬のnm23遺伝子を単離し、その性状を解析することに成功した。本研究成果は現在学術雑誌に投稿中である。また腫瘍の化学療法中に問題となる薬剤耐性についても、犬および猫について幅広い関連遺伝子の検索を行っている。さらに遺伝性疾患については、犬の血友病Aの症例について、その遺伝子異常を解析している。 このように平成16年度では、当初の予定通りいくつかの遺伝子診断法の確立を行うことができたことから、平成17年度ではこれらの知見を実際の臨床例で確認していく予定である。
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