2004 Fiscal Year Annual Research Report
植物由来の新規生理活性物質・レピジモイドが根圏微生物フロラに及ぼす影響
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16780223
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山田 小須弥 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 助手 (70292521)
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Keywords | オリゴサッカライド / クロロフィル合成 / 細胞伸長 / Glu-tRNA reductase / SAUR |
Research Abstract |
レピジモイドの植物に対する作用メカニズムを分子レベルで明らかにする目的で、レピジモイドがシュートの伸長(シロイヌナズナ)及びクロロフィル生合成(キュウリ)に関連する遺伝子の発現に及ぼす影響をRT-PCRによって検討した。先ず、本研究で使用するレピジモイドを大量に調製するため、オクラ未熟果実(1,000本)から粘性多糖類(Okra mucilage F)を精製した。次に、最近開発された化学合成法によってOkra mucilage Fからレピジモイドを合成し、以下の実験に供した。 1)シロイヌナズナの黄化芽生えにレピジモイド及びオーキシン(IAA)を投与し、オーキシン誘導性遺伝子の一つであるSAUR10Aの配列を基に設計したプライマーを用いてRT-PCR解析を行った。その結果、オーキシンはSAUR10Aの発現を誘導したが、レピジモイドは逆に発現を抑制したことから、レピジモイドによるシュートの伸長促進作用はオーキシンとは異なるシグナル伝達系を介する可能性が示唆された。 2)レピジモイド及びサイトカイニン(ベンジルアデニン)を処理したキュウリ子葉切片を明所及び暗所で培養し、クロロフィル生合成系の鍵酵素であるGlu-tRNA reductaseをコードしている遺伝子(HEMA 1及びHEMA 2)の配列を基に設計したプライマーを用いてRT-PCR解析を行った。レピジモイド処理により、一過的なHEMA 1及びHEMA 2の発現が明所で確認された。一方、暗所ではHEMA 2のみの発現が観察された。サイトカイニン処理でも同様の発現パターンが確認されたことから、レピジモイドはサイトカイニンのシグナル伝達系とクロストークしてクロロフィル生合成を促進している可能性が示唆された。
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