2005 Fiscal Year Annual Research Report
深海底堆積物中の微生物による有機塩素化合物分解に関する研究
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16780228
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
布浦 拓郎 独立行政法人海洋研究開発機構, 極限環境生物圏研究センター, 研究員 (60359164)
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Keywords | 深海 / 有機塩素化合物 / dehydrogenase / mcrA |
Research Abstract |
平成16年度の研究の結果、海洋底に広がる通常の堆積物中での有機塩素化合物分解活性は、非常に低いことが示唆された。このことは海洋底における有機塩素化合物分解活性がないことを示しているのではなく、海洋底の普通の堆積物自体の微生物活性が低いことを反映している可能性が高い。そこで、本年度は、活動的な微生物群集の存在が示唆されている冷湧水帯及び熱水活動域の堆積物を対象とした解析を試みた。なお、活性測定及び集積培養に関する研究は、熱水活動域を対象とした航海(なつしま-ハイパードルフィンNT05-03航海)において悪天候により、十分な試料を採取することが出来なかったため断念し、平成15年以前に採取し保存されていた冷湧水帯及び熱水活動域の堆積物試料について分子生物学解析のみ行った。 冷湧水帯では、湧水中に含まれる高濃度のメタンと海水から供給される硫酸に依存する嫌気的メタン酸化アーキア・硫酸還元菌共生系による一次生産が、堆積物中の有機物に依存する微生物活動を支えていると推測される。そこで、南海トラフより採取した堆積物試料を用い、16S rRNA遺伝子クローン解析、有機塩素化合物還元遺伝子増幅と共に、冷湧水帯における一次生産の規模を示す指標とし、嫌気的メタン酸化の鍵酵素であるMethyl CoM reductase遺伝子(mcrA)を選び、その存在量を定量するための定量PCR系の構築を試みた。また、第四与那国海丘熱水活動域より採取した堆積物試料を用い、16S rRNA遺伝子クローン解析を行うと共に有機塩素化合物還元遺伝子検出を試みた。本年度の研究の結果、冷湧水帯の微生物活性の簡便な指標となりうる嫌気的メタン酸化アーキアに由来するmcrA定量法の確立には成功したが、有機塩素化合物還元遺伝子を検出することは出来なかった。なお、熱水活動域由来の堆積物試料については現在詳細な解析を続けている。
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[Journal Article] Quantification of mcrA by quantitative fluorescent PCR in sediments from methane seep of the Nankai Trough.2006
Author(s)
Nunoura, T., Oida H., Toki, T., Ashi, J., Takai, K., Horikoshi, K.
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Journal Title
FEMS Microbiology Ecology (Published online)(未定)