2004 Fiscal Year Annual Research Report
新規機能性リン配位子:ジアミノホスフィンオキシドを用いる実践的触媒的不斉合成
Project/Area Number |
16790006
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
根本 哲宏 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 助手 (80361450)
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Keywords | パラジウム / 不斉合成 / リン配位子 / 触媒 / ジアミノホスフィンオキシド |
Research Abstract |
当初の研究計画に従い、光学活性ジアミノホスフィンオキシドのライブラリー構築を行った。出発原料としては、シクロヘキサンジアミン等の対称キラルジアミン類と、アスパラギン酸、グルタミン酸、ホモフェニルアラニン等のアミノ酸類を用い、対応するジアミノホスフィンオキシド類を得た。これらを利用して、パラジウム触媒を用いる不斉アリル位置換反応の検討を行った。プロキラル求核剤を利用した不斉4級炭素構築反応に関しては、環状求核剤を用いた場合に最高で94% eeにて目的物を得た。さらにα位にアミノ基置換基を有する、鎖状のβ-ケトエステルを求核剤として用いた場合には、反応性の低下を伴うものの、最高で選択性84% eeにて不斉4級炭素を有するアミノ酸誘導体を得る事に成功した。上記の反応にて確立した条件を用いて、その他のアリル位置換反応の検討を行った結果、1,3-ジフェニルアリルアセテートを基質として利用した反応において、炭素求核剤を用いた場合には最高で99% ee、またアミン求核剤を用いた場合にも同様に最高で98% eeにて目的物を与えることがわかった。触媒効率の向上を検討した結果、0.15mol %にまで触媒量を低減させても反応は円滑に進行し、高い光学収率にて目的物が得られることがわかった。詳細な反応機構解析の結果、ジアミノホスフィンオキシド類は反応溶液中でBSA(N,O-ビストリメチルシリルアセトアミド)と反応することで活性配位子に変換されたのち、2分子の配位子がパラジウムと会合することで活性種を形成することがわかった。その際、アミノ酸の分子骨格に由来する配位子側鎖がエナンチオ選択性を決定づける重要な役割を果たしていることが示唆された。今後、これらの知見を基に新しいタイプの不斉反応を検討していく。
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