2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16790008
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
棚谷 綾 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助手 (40361654)
|
Keywords | アミド結合 / 芳香族化合物 / 立体構造 / 分子スイッチ / プロトネーション / 溶媒効果 |
Research Abstract |
分子の三次元構造は生理活性物質や超分子形成など、その分子の物性や機能を発揮する上で重要な要素の1つであり、これら機能性分子のデザインには立体構造を制御した分子構築が必須である。申請者は「N-メチル化による芳香族アミドのシス型優先性」という立体特性をみいだしており、芳香族分子構築に有用な部分構造であることを示してきた。本研究では、芳香族アミドの立体特性を用いた芳香族分子構築を更に発展させて、外的環境(溶媒、pH、熱など)によって立体構造を変化させる分子を設計、合成した。 本年度は、まず酸化還元によりアミド結合の立体転換が起こりうる化合物として、N-ファニルアセトアニリドの窒素原子上にハイドロキノンもしくはキノンを持つ化合物を設計、合成した。ハイドロキノン体は結晶中、E型で存在していたが、酸化して得られるキノン体の結晶構造はZ型であった。また、溶液中でもそれぞれ結晶構造が主コンフォマーであることをみいだした。幾つかの類縁体でも同様の結果が得られ、酸化還元により、アミド結合の立体が転換する可能性を示している。 芳香族ウレアに関しては、立体特性に加えて、その水素結合形成能を利用した有機触媒分子を設計、合成した。その結果、Hetero-Michael型反応およびBaylis-Hillman反応において、合成したウレア型触媒を存在させると、反応が非常に加速され、また不斉誘起が起こることを見いだした。 一方、グアニジンを持つ天然物の合成に成功し、その骨格を用いた機能性分子の創製のための合成基盤を気づいた。
|
Research Products
(6 results)