2005 Fiscal Year Annual Research Report
ウィルスエンベロープ蛋白を標的とする新規抗C型肝炎リード化合物の探索
Project/Area Number |
16790011
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田村 理 大阪大学, 薬学研究科, 助手 (30362619)
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Keywords | C型肝炎ウィルス / E1E2蛋白 / マイカイカ / ウィルス侵入阻害 / 医薬リード化合物 / 天然物 / tellimagrandin I / 加水分解型タンニン |
Research Abstract |
C型肝炎は国内で約200万人もの感染者が存在するといわれ、発症者の大部分は肝癌へと進行する深刻な疾病であるが、現在、有効な化学療法が存在しておらず、C型肝炎ウイルス(HCV)の培養法が未だ確立されていないことが、新規治療薬の開発の大きな障害となっている。そこで、HCVが宿主へ侵入・感染する際に必須となるエンベロープ蛋白E1E2に着目し、エンベロープ蛋白E1E2と蛍光蛋白GFPを水泡性口内炎ウイルス(VSV)に発現させたHCVモデルウィルスを用いたHCV感染阻害活性試験によって新規抗C型肝炎リード化合物の探索に着手した。保有している約400種の薬用植物抽出エキスに対してスクリーニングを行った結果、強力な感染阻害活性を示した薬用植物"マイカイカ"のメタノール抽出エキスより、溶媒分配に続くシリカゲルあるいはODSを用いたカラムクロマトグラフィーによって分離を進め、最終的にHPLCによって2種のエキスから構造類似の4種の活性成分を単離した。これら活性化合物それぞれについてNMRやIR、MSスペクトル等より化学構造の解明を行い、最も強力な活性を示した化合物として加水分解型タンニンであるtellimagrandin Iを明らかにするとともに、残り3種の活性成分が本化合物の類縁体であることを見出した。さらに、tellimagrandin Iの作用点について検討を行い、本活性成分がHCVエンベロープE1E2ではなく、宿主細胞側レセプターに結合することでHCVの侵入過程を阻害していることを明らかにした。また、合成類縁体を用いた構造活性相関研究により、4,6位に結合したhexahydroxydiphenyl基が活性発現に関与していることが示唆された。
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Research Products
(3 results)