2004 Fiscal Year Annual Research Report
生物活性物質合成のための9族遷移金属錯体を活用する新規不斉触媒反応の開発
Project/Area Number |
16790017
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Research Institution | Tohoku Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
鈴木 健之 東北薬科大学, 薬学部, 講師 (10262924)
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Keywords | イリジウム触媒 / 不斉酸化的ラクトン化反応 / メソジオール / キラルジエン / 触媒的速度論的光学分割 / キラルアリルカルボナート |
Research Abstract |
メソジオールの不斉酸化的ラクトン化反応は、酵素による方法や電極酸化では高い選択性が得られていることが報告されているが、遷移金属触媒を用いたもので優れた例は、これまでに報告されていなかった。そこで、メソジオールの不斉酸化的ラクトン化反応を開発すべく、種々の遷移金属や配位子を用いて検討したところ、塩化ペンタメチルシクロペンタジエニルイリジウム錯体と(R)-フェニルグリシノールあるいは(1S,3R,4R)-2-アザノルボルニルメタノールから調製されるキラルイリジウム触媒に高い選択性が得られ、[2.2.1]ビシクロヘプタン骨格を有するメソジオールの不斉酸化的ラクトン化反応において、最高81%eeのエナンチオ選択性が得られた。 また、イリジウム金属など後周期遷移金属を用いる不斉触媒反応においてキラルなジェン配位子が新たな配位子として機能するか検討した。その結果、香料テルペンのカルボンから容易に四工程で合成できるキラル[2.2.2]-ビシクロオクダジェンがアリルカルボナート類の触媒的速度論的光学分割反応に有効な配位子であることを見出した。すなわち、このようにして得られたキラルジェン配位子を塩化ビスシクロオクテンイリジウム錯体と処理し、フェノールを求核剤とするアリルカルボナートの触媒的速度論的光学分割反応を検討した。その結果、広範囲の芳香族、脂肪族アリルカルボナートが高いエナンチオ選択性で得られることがわかった。得られた光学活性アリルカルボナート類は合成中間体として重要であり、脱保護によるキラルアリルアルコールヘの変換のほかに、立体特異的反応により他の有用キラルビルデイングブロックに誘導可能であることがわかった。
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