2004 Fiscal Year Annual Research Report
化学および生物学的手法による不斉酸化反応を触媒する薬物代謝酵素の単離とその応用
Project/Area Number |
16790018
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Research Institution | Tohoku Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
上井 幸司 東北薬科大学, 薬学部, 助手 (80347905)
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Keywords | 硫黄化合物 / 薬物代謝 / 酵素的酸化反応 / 固相反応 / 立体選択性 |
Research Abstract |
平成16年度における本研究の計画は,(1)固相合成用樹脂に固定した基質を用いる酵素反応系の開発(2)基質を固定した樹脂のアフィニティーカラムクロマトグラフィーへの応用であった.本計画に基づき研究を行い,以下のような結果を得た. はじめに,スルフイド類のラット肝ミクロソームによる酸化反応における構造と活性の相関について,速度論的解析を行うことにより検討した.ここで検討した基質は,エチル4'-フルオロフェネチルスルフィドを中心としてそのβ-位をメチル基や水酸基等で修飾したものや,芳香環部分をピリジルや4-メトキシフェニル等で置換した化合物である.その結果,酸化反応の速度と立体選択性には,スルフィド周辺の構造が影響を与えることが明らかとなった. この結果から,固相に固定したスルフィドの酵素反応は,スルフィドの伊位を水酸基で置換した化合物を用いることとした.固相として水溶液中でも適用され,生体分子が容易に固相表面に近づくことができる程度に表面積の広いアミノプロピルシリカ,PEGAまたはTentage1を用い,各種リンカーを架橋として基質の固定を試みた.ところが,基質は固相上に固定されるものの,満足できる程度のloadingは得られていない.来年度は固相と基質をつなぐリンカーの種類と,固相からの基質の切り出しについてより詳細に検討することにより,この問題は解決されるものと考えられる. 固相上で酵素反応を行い,効率よく生成物の精製を行うためには,ミクロソームに含まれる酵素を可溶化させる必要があるため,その条件を検討した.各種界面活性剤により可溶化を試みたが,現在のところある程度の酵素活性の低下は避けられない状況である.来年度は固相での酵素反応の検討と平行して,さらに良好な可溶化条件を見出すことも必要である.
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