2005 Fiscal Year Annual Research Report
HIV-1プロテアーゼ阻害剤ジデムナケタールの不斉全合成研究
Project/Area Number |
16790020
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
伊藤 久央 東京薬科大学, 生命科学部, 講師 (70287457)
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Keywords | 海産天然物 / 不斉全合成 / プロテアーゼ阻害 / エナンチオ選択的 / 抗HIV |
Research Abstract |
Faulknerらによってパラオ産ホヤより単離構造決定された,高いHIV-1プロテアーゼ阻害活性を有するジデムナケタールの不斉全合成について研究を行っている.まず,昨年度検討したアキラルなジアルデヒドへのエナンチオ選択的アルドール反応を用いた光学活性スピロケタールの合成法について論文を欧文誌に投稿し,すでに掲載された.次に,本年度の計画に基づいて,高度に収束的なスピロケタール部位の合成経路の開発について検討を行った.すなわち,スピロケタール部位を4つのフラグメントに分割して合成した.まず,メチル基が結合したキラル中心を有する4つのフラグメントのうち,3つのフラグメントを市販のキラル合成素子を基に合成した.さらにもう一つのフラグメントは,対称性を有する酸無水物から酵素を用いたエナンチオ選択的モノエステル化を経て合成に成功した.この4つのフラグメントの2つのフラグメントへの収束について検討したところ,一方のフラグメントについては,鈴木-宮浦カップリングを行い立体選択的な構築に成功した.しかしながら,もう一方のフラグメントどうしのカップリング反応についても鈴木-宮浦カップリングを駆使して検討を行ったが,カップリング反応は困難であった.以上の結果から,2つめのフラグメントを野崎-檜山-岸カップリングで合成することとし,現在,そのためのフラグメントを合成中である.また,スピロケタール構築のための最後のカップリング反応,すなわち4つから2つのフラグメントを合成した後の最後のカップリング反応にジチアンを用いる計画であった.しかしながら,本年度のフラグメントの合成における知見から,ジチアンカップリングは困難と予想されたことから修正を加え,それに基づいたフラグメントの合成を行っている.
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