2005 Fiscal Year Annual Research Report
アンチマイシンA類の持つ電子伝達系阻害活性とアポトーシス誘導活性の活性分離研究
Project/Area Number |
16790024
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
西井 健 徳島文理大学, 薬学部, 助手 (40341268)
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Keywords | Antimycin A / 電子伝達系阻害 / アポトーシス / 不斉合成 / 細胞毒性 |
Research Abstract |
最近,天然型Antimycin A(AA)類は正常細胞に対してアポトーシス誘導活性と電子伝達系阻害活性を同時に発現することが報告された.この二つの活性を分離する事は,それぞれの研究領域にとって火急の問題である.しかし,研究に必要な化合物供給には重大な問題がある.すなわち,1)分離困難な多数の異性体が存在するため,培養法では純粋なものを大量に供給できないこと,2)化合物の構造的特徴のため,天然物を原料とした誘導体合成にはかなりの制約があることなどである.一方,応募者はすでにAntimycin A_<3b>(AA_<3b>)及びAA_<3a>の化学合成に成功し,活性試験を行うのに十分な量を供給できる方法を確立している.そこで本研究では,数多くのAA類縁体の合成を当面の目的として研究を行ってきた.そして最終的にはAA類の2つの生物活性,a)アポトーシス誘導活性,b)電子伝達系阻害活性を完全に分離した化合物の創製をめざした. 1.Antimycin A_3(AA_3)の活性本体 AA_3は多くのAA類の中で最も活性が強いと知られているが,市販品として入手できるAA_3は二種の化合物の混合物である.本研究により合成した純粋なAA_<3a>とAA_<3b>を用いて,MTTアッセイによるHL-60細胞に対する細胞毒性試験を行った.結果,両者の活性に有意な差は認められなかった. 2.AA類のエステル側鎖の構造変換 これまでに確立していた合成ルートにより,数種類の誘導体が合成できた.これらの活性評価は現在検討中である. 3.より効率的なAA類大量合成ルートの確立 立体構築の方法にサルタムを用いたアルドール反応を利用することにより,これまでのものよりも短段階,高効率な合成ルートを開発できた.そして新たにブチル基を9員環側鎖に持つもの4種とヘキシル基を側鎖に持つもの5種,計11種の天然型AA類の全合成を完了した.これらの活性評価は現在検討中である.
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