2004 Fiscal Year Annual Research Report
生体内カリウムイオンのイメージングを可能とする蛍光プローブの開発と機能評価
Project/Area Number |
16790030
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山内 晶世 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (70361110)
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Keywords | シクロデキストリン / 蛍光プローブ / ロタキサン / 超分子 |
Research Abstract |
水中で機能するカリウムイオン(K^+)蛍光プローブの開発を目的として,蛍光性ビスクラウンエーテルとシクロデキストリン(CyD)からなるロタキサンの合成を試みた.蛍光団を有するビスクラウンエーテルを水に可溶化させるためにCyDに包接させ,さらに溶液中で安定な単分子とするためには,適切なストッパーを用いてCyDから抜け出ないロタキサンとする必要がある.ストッパーとして,ポリオキシエチレン鎖を有する嵩高いアミンを用いることを検討したが,合成できなかった.そこで,ピリジンを修飾したビスクラウンエーテルをCyDに包接させ,コバルトや鉄を中心金属とするポルフィリンへの軸配位を利用してロタキサンを形成させることを試みたが,ピリジンの配位能は弱く,ロタキサン形成には不十分であった.次に,ジエチレントリアミンやジピコリルアミンをCyDに修飾し,CyDに包接されたビスクラウンエーテルのピリジンとの協同的な亜鉛イオンへの配位に基づくロタキサン形成を試みたが,CyD修飾体の合成が困難だった. CyDを利用したロタキサン合成の基礎検討として,ピレニルメチルアミン修飾α-CyDによるN-オクタノイルトリプトファンの包接挙動を紫外可視吸収および^1H-NMR分光法により解析した.N-オクタノイルトリプトファンは,アルキル基がCyD空孔に包接されるほかに,ピレン環とのπ-π相互作用,ピレニルアンモニウム基とカルボキシル基との静電相互作用による三点相互作用で包接錯体を形成していることが明らかとなった.この三点相互作用により,光学異性体を識別可能であった.この結果は,安定なロタキサンを形成させるために,修飾CyDの多点相互作用を利用することが有効であることを示唆している.また,金微粒子を生体内物質の可視化プローブ構築に利用するために,CyD修飾金電極の分子認識能を評価した.
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