2005 Fiscal Year Annual Research Report
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌MRSAの耐性伝播阻害に関する構造生物学研究
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16790033
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水谷 隆太 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (70272482)
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Keywords | 薬剤耐性 / MRSA / 組換え酵素 / 結晶化 |
Research Abstract |
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌MRSAの蔓延は、対感染症薬剤療法への脅威となっている。MRSAは、耐性に必須なペニシリン結合蛋白質の遺伝子mecAを有するとともに、組換え酵素の遺伝子ccrA, ccrB, ccrCをも有している。これらの遺伝子によりコードされるCcr蛋白質は、耐性遺伝子カセットを部位特異的に切り出し、挿入する働きを持っており、薬剤耐性が蔓延する一因となっている。研究代表者は、耐性遺伝子組換反応がどのような三次元構造によって行われるのか明らかにするため、結晶化に向けたCcr蛋白質の発現と精製を進めてきた。 CcrB蛋白質については、DNA認識配列の検討を詳細に行い、長さによる結合能の違いをDNA/蛋白質量比を変えて調べたところ、CcrBダイマーに対して二本鎖DNAが一つ結合することが明らかとなった。 単独で組換えを行うCcrC蛋白質については、N末端の231残基および155残基よりなるリコンビナント発現系を構築した。これらの変異体は、アミノ酸配列の相同性から検討して、DNA認識を担う最小のドメインであると考えられた。発現株菌体破砕液の沈殿画分を塩酸グアニジンで可溶化し、ゲルろ過クロマトグラフィーにより目的蛋白質を精製した。透析によるリフォールディングを経てクロマトグラフィー法により精製し、蛋白質試料を得た。DNA共存下での電気泳動の結果から、231残基体とDNAとの相互作用が示唆された。得られた蛋白質試料を用いて、単独あるいは二本鎖オリゴDNAとともに結晶化を行った。
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