2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16790044
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
鈴木 敏和 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助手 (70270527)
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Keywords | 細胞老化 / DNAメチル化 / ヘテロクロマチン |
Research Abstract |
細胞の老化に伴うDNAのシトシンメチル化量の減少が、約20年前以上前より知られている。しかし、その生理的意義はよく分かっていない。一方で申請者らは、細胞の老化に伴って、古典的サテライト配列を含むヘテロクロマチン領域DNAが損傷を受けること、およびその領域のDNAメチル化が減少することを見出してきた。一方で、細胞の分裂寿命の決定因子としてテロメアの短縮が関与するとされてきたが、最近では、テロメアが外因的活性酸素ストレスの細胞センサーとして作用することが報告されている。そこで、本年度は活性酸素ストレスが細胞老化に伴うDNA脱メチル化にどのような影響を及ぼすのか検討を行った。 通常、細胞培養は95%大気/5%二酸化炭素(酸素濃度約20%)で行うが、組織における細胞環境中での酸素濃度は1-6%と推測され、既に高酸素状態に置かれていることが予測される。そこで、培養環境を92%窒素/3%酸素/5%二酸化炭素中で行い、DNAメチル化量の減少程度を通常培養条件と比較を行い、次の結果を得た。 1.3%酸素条件下で培養を行うと、BJ線維芽細胞は5PD (PD : population doubling,集団倍加数)、TIG-7線維芽細胞は10PD、20%酸素条件下に比べて分裂寿命が延長した。 2.3%酸素条件下では、分裂寿命の延長と平行して、DNAメチル化量の減少の遅延が見られた。 3.細胞老化時で比較すると、20%酸素条件下と比べて3%酸素条件下の方がよりDNAメチル化量が減少していた。 これらの結果より、DNAの脱メチル化は活性酸素ストレス等により加速されることが予想された。また、3%酸素条件下における分裂寿命の延長には、テロメア短縮の遅延、DNA脱メチル化の遅延、およびゲノム上のその他の領域のDNA損傷程度の減少等、複合的な要因が絡んでいることが考えられた。
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Research Products
(1 results)