2004 Fiscal Year Annual Research Report
癌転移に関わる新規血小板凝集誘導因子Aggrusの血小板凝集誘導機構の解析
Project/Area Number |
16790046
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤田 直也 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教授 (20280951)
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Keywords | Aggrus / 血小板凝集 / がん転移 / 糖鎖 / モノクローナル抗体 |
Research Abstract |
新規血小板凝集因子Aggrus/T1α/Podoplanin/OTS-8は、がん細胞における発現量がその細胞の転移能に相関していること、さらにAggrusを遺伝子導入したCHO細胞が肺転移を起こすようになることから、がん転移促進に働く膜タンパク質であることが示唆されていた。そこで、マウスAggrus依存的な血小板凝集を阻害する8F11抗体の認識部位を中心に多数の変異体を作製し、その血小板凝集誘導活性の変化を検討した。その結果、糖鎖が結合していると予想される34番目のスレオニン残基をアラニンに置換した変異体が血小板凝集誘導活性を失っていることを見いだした。ヒトとマウスのAggrusは、全体のホモロジーは低いにも関わらず、この部位は保存されていた。そこで、ヒトAggrusの相同部位に変異を入れた変異体(T34A)を作製したところ、予想通り血小板凝集誘導活性の喪失が確認された。そこで、このT34A-ヒトAggrusを恒常的に発現しているCHO細胞を作成し、ヌードマウスにおける実験的転移能を検討した結果、血小板凝集誘導活性の喪失に相関して転移能の減弱が確認された。よって、Aggrus依存的な血小板凝集誘導活性・転移促進活性には、34番目のスレオニン残基に結合する糖鎖が関与することが示唆された。この結果は、糖鎖合成不全のCHO亜株にAggrusを発現させても血小板凝集誘導活性を示さないことからも確認されている。ヒトAggrusを発現しているがんの種類を同定するために、Tissue Arrayを用いて免疫染色した結果、Aggrusは精巣腫瘍のうちセミノーマ特異的に発現していることを見いだした。精巣腫瘍は大きくセミノーマと非セミノーマ型胚細胞腫瘍に分けられるが、非セミノーマ型胚細胞腫瘍ではAggrus発現は認められず、Aggrusはセミノーマ特異的抗原であることが明らかとなった。
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