2004 Fiscal Year Annual Research Report
骨関節組織におけるグルタミン酸シグナリング機構解明に関する研究
Project/Area Number |
16790049
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
檜井 栄一 金沢大学, 自然科学研究科, 助手 (70360865)
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Keywords | 骨芽細胞 / 軟骨細胞 / グルタミン酸 / 滑膜細胞 / 間葉系細胞 / リウマチ |
Research Abstract |
内軟骨性骨形成過程における軟骨分化は、parathyroid hormoneやbone morphogenetic protein等の様々なホルモンやサイトカインにより厳密に制御されている。一方、グルタメイト(Glu)は中枢神経系においては興奮性神経伝達物質として機能すると理解されるが、近年我々は骨組織においてもGluが細胞間シグナル伝達に使用される内因性パラクラインあるいはオートクライン因子の一つである可能性を提唱している。本研究では、ほぼ軟骨細胞のみから形成される胎生15.5日目のマウス胎児中足骨の器官培養系を用いて、Gluによる軟骨分化制御機構の解析を試みた。その結果、Gluは中足骨全長には著明な影響を与えないが、その石灰化を有意に抑制することが判明した。組織学的解析から、Gluは肥大化軟骨細胞や石灰化軟骨細胞への最終分化を抑制することが明らかとなった。ついでGluレセプター(GluR)アゴニストの影響について検討したところ、metabotropic型GluRのグループIII型アゴニストL-AP4添加では中足骨全長には変化は認められなかったものの、石灰化部位は劇的な減少が観察された。さらに、RT-PCR解析により中足骨においては特定のGluRおよび特定のGluトランスポーターの発現が認められた。以上の結果により、Gluは特定の機能的GluRを介して増殖軟骨から肥大軟骨への分化遅延とアポトーシスを引き起こすことにより、軟骨細胞の分化過程を制御する可能性が示され、Gluは内軟骨性骨形成機構をはじめとする軟骨および骨格形成メカニズムに重要な役割を果たしている可能性炉示唆される。
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Research Products
(1 results)