2004 Fiscal Year Annual Research Report
Toll-like受容体-5シグナル伝達に対する膜結合型ムチンMUC1の調節作用
Project/Area Number |
16790057
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
久恒 昭哲 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助手 (50347001)
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Keywords | 自然免疫 / Toll様受容体 / ムチン / フラジェリン |
Research Abstract |
我々は緑嚢菌由来フラジェリンが自然免疫系を司る受容体TLR5に結合するのみならず,膜結合型ムチンのMUC1にも結合することを明らかにした.最近MUC1はその細胞内ドメインにMAPkinase, PI3 kinaseなどシグナル伝達に関わる分子,更にβ-cateninの結合部位が見出された.すなわち,MUC1は単なる膜に発現する1分子というだけでなく,フラジェリン-MUC1の結合によって細胞内シグナル伝達が発生すること,さらにそのシグナル伝達はフラジェリン-TLR5を介したシグナルとのクロストークを生み出すことを容易に想起させる.そこで本研究では細胞膜上に発現したMUC1によってフラジェリン誘導性シグナル伝達が調節される可能性について検証した.ヒト腎上皮細胞HEK293Tにおけるフラジェリン誘導性NF-κB活性に対する強制発現させたMUC1の影響について検討した結果,MUC1の量依存的にNF-κBの活性が抑制された.また,フラジェリン誘導性炎症反応はIL-8産生を惹起することから,IL-8産生に対するMUC1の影響について検討した.その結果,MUC1の量依存的にフラジェリン誘導性IL-8の産生量が有意に抑制された.更に,この現象を確認するためにMUC1特異的なsiRNAを作製し,内因性のMUC1の発現を抑制した細胞を用いて,フラジェリン誘導性の炎症反応に対するMUC1の影響についてNF-κBの活性を指標に検討した.その結果,MUC1特異的siRNAを作用させた細胞におけるフラジェリン誘導性のNF-κB活性はコントロールに比べて劇的に上昇した.すなわち,膜上に存在するMUC1の存在によってNF-κB活性をはじめとするフラジェリン誘導性の炎症性の自然免疫反応が抑制されていることが示唆された.
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