2006 Fiscal Year Annual Research Report
結核菌の細胞内寄生性を標的にした新規結核治療法の開発
Project/Area Number |
16790064
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
伊藤 佐生智 星薬科大学, 薬学部, 助手 (70308013)
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Keywords | p57 / coronin1 / アクチン結合タンパク質 / 細胞内寄生菌 |
Research Abstract |
p57は免疫細胞に特異的に発現するアクチン結合タンパク質であり,食作用をはじめとする細胞運動に関与していると考えられている.我々は白血球の貪食の際にp57がF-アクチンとともにファゴソームに集積し,ファゴソームの成熟に先行してファゴソーム膜から解離すること,p57はこの過程において一過性にリン酸化されることを見出している.一方,細胞内寄生菌である結核菌はp57のファゴソームからの解離を抑制してファゴソーム成熟を抑制し,細胞内での生存を可能にしているという報告があり,p57とアクチン細胞骨格系との相互作用の解析は細胞内寄生菌の生存機構の解明とこれを標的とした細胞内寄生菌感染症の新規治療法の開発に寄与すると考えられる.p57はN末端のWDリピート領域とC末端のロイシンジッパーを含むコイルドコイル領域からなる.WDリピート領域中には少なくとも2ヶ所アクチン結合能が存在し,一方でコイルドコイル領域は二量体形成に関与していることを明らかにしている.今年度の研究においてp57のリン酸化状態と細胞骨格系への結合の関係を検討するため,HL60細胞より調整した界面活性剤不溶性の細胞骨格成分へのp57の分布を検討したところ,PMA処理によりp57は細胞骨格から解離し,リン酸化の抑制により細胞骨格への結合が促進された.このことはGFP-p57強制発現細胞においても示された.また細胞骨格に結合しているp57のリン酸化状態を二次元電気泳動により解析した結果,細胞骨格結合性のp57は低リン酸化型であり,可溶性のp57は高リン酸化型であることが示された.我々は以前にp57が二量体形成することによりアクチンの架橋形成を媒介することを見出している.今回の結果よりp57は二量体形成とリン酸化による調節を介してファゴソームの形成と成熟におけるアクチン細胞骨格の再構成の調節を担っている可能性が示された.
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Research Products
(2 results)