2005 Fiscal Year Annual Research Report
コンドロイチン/デルマタン硫酸の硫酸化を担う硫酸基転移酵素群の生物学的意義の解明
Project/Area Number |
16790068
|
Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
三上 雅久 神戸薬科大学, 薬学部, 講師 (20330425)
|
Keywords | 硫酸基転移酵素 / コンドロイチン硫酸 / デルマタン硫酸 / グリコサミノグリカン / プロテオグリカン / 硫酸化 / ゼブラフィッシュ / 神経突起伸長 |
Research Abstract |
硫酸化グリコサミノグリカン糖鎖の一群に分類されるコンドロイチン硫酸/デルマタン硫酸(CS/DS)は形態形成や細胞間相互作用など生命活動に必須な役割を果している。最近のin vitroでの研究から、CS/DSの特定の硫酸化構造がその生物機能発現に重要であることがわかってきた。本研究では、CS/DSの特異的硫酸化構造と生物機能との相関をin vivoで明らかにするため、CS/DSの硫酸化を触媒する硫酸基転移酵素に焦点を当て、分子生物学的解析を行なった。(1)脊椎動物のCS/DSにおいて、主要な硫酸化修飾構造であるGalNAcの4位の硫酸化を担う硫酸基転移酵素の一つであるC4ST-1の機能をアンチセンス法によりゼブラフィッシュ胚でノックダクンし、その表現型を解析した。C4ST-1に特異的なアンチセンスモルフォリノオリゴをゼブラフィッシュに導入した胚(C4ST-1モルファント)は、体軸や尾部が曲がったり、ねじれたりする形態異常を示した。受精後48時間目のC4ST-1モルファントよりグリコサミノグリカン糖鎖画分を調製し、CS/DSの二糖組成分析を行った結果、野生型胚由来のCS/DSと比較して、GalNAcの4位が硫酸化された二糖の割合は顕著に減少していた。従って、C4ST-1モルファントで観察された形態異常は、CS/DS鎖中のGalNAcの4位の硫酸化の低下、もしくはCS/DSの構造変化により引き起こされた可能性が強く示唆された。(2)これまでの研究から、CS/DSハイブリッド糖鎖には、神経突起伸長促進作用や種々の増殖因子と強い結合親和性を持つことが明らかにされている。しかし、そのように機能的なDS構造をもつ糖鎖が、哺乳類の脳のどの領域に発現しているかは不明である。そこで、マウスの生後発達段階における硫酸基転移酵素群の発現をin situ hybridizationにより調べると共に、脳切片を用いたCS/DSの二糖組成分析を行なった。その結果、種々の硫酸基転移酵素のうち、DS鎖の生合成に関わる2種類の硫酸基転移酵素(D4ST-1とUST)が小脳に強く発現していることを見出した。二糖組成解析からも、小脳には他の領域に比べ、DSに特徴的な二糖単位が多く含まれていることがわかった。従って、DS鎖が小脳の神経回路網の形成に深く関与していることが示唆された。
|