2004 Fiscal Year Annual Research Report
食細胞活性化時の情報伝達・細胞応答の機構に関するRNA干渉法を用いた解析
Project/Area Number |
16790075
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
安達 玲子 国立医薬品食品衛生研究所, 代謝生化学部, 主任研究官 (10291113)
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Keywords | 食細胞 / 情報伝達 / Srcファミリーチロシンキナーゼ / siRNA / U937細胞 / オプソニン化ザイモザン / 活性酸素産性 / Lyn |
Research Abstract |
1.目的 本研究は、食細胞活性化時の情報伝達及び細胞応答の機構について、RNA干渉法を用いて解析することを目的とする。平成16年度においては、情報伝達因子の一つであるSrcファミリーチロシンキナーゼ(SFK)を標的として、siRNAを用いた解析を行い、食細胞におけるSFKの役割について検討した。 2.方法 細胞は、ヒト単球系培養細胞U937をTNFαと活性型ビタミンD_3でマクロファージ様に分化誘導して用いた。発現しているSFKの検出はウェスタンブロッティングにて行った。siRNAはエレクトロポーレーションにより細胞に導入し、各標的SFKの発現の低下を確認した。細胞刺激剤としてオプソニン化ザイモザン(OZ)を用い、食細胞機能の一つである活性酸素産生について検討した。 3.結果および考察 U937細胞で発現しているSFKについて検討したところ、食細胞に多いことが知られているHck、Lyn、Fgrは、分化誘導により発現量が増加したが、様々な細胞種に普遍的に存在するSrc、Fynでは、分化誘導による発現増大は見られなかった。この結果からマクロファージ様U937細胞ではHck、Lyn、Fgrが重要であると考えられた。これら3種のSFKに対するsiRNAを細胞に導入したところ、それぞれのタンパク量を40-50%にまで減少させることができた。このようにして3種のSFKの発現を低下させた細胞を用いて、OZ刺激による活性酸素産生について検討したところ、Lynを減少させた細胞で産生量が最も少なく、対照細胞の半分以下となった。これに対し、Hck、Fgrを減少させた細胞では、活性酸素産生量は対照細胞の60-70%であった。これらの結果から、OZによる刺激から活性酸素産生という細胞応答に至る経路においては、細胞内に発現しているSFKの中でもLynが重要な役割を果たしていることが示された。
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Research Products
(1 results)