2004 Fiscal Year Annual Research Report
酸化血清中に存在する細胞傷害因子の探索-新規酸化ストレスマーカーの同定を目指して
Project/Area Number |
16790079
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
斎藤 芳郎 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンストレスシグナル研究センター, 研究員 (70357060)
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Keywords | 酸化ストレス / 酸化リポタンパク質 / 過酸化脂質 / 酸化ストレスマーカー / カルボニル蛋白質 / ヒト動脈内皮細胞(HAEC) / ヒト動脈平滑筋細胞(AoSMC) |
Research Abstract |
1.酸化血清の作成とクロマトグラフィーによる分離系の確立 水溶性のラジカル開始剤を用いて、酸化した血清を作成する。血清の酸化レベルは、化学発光や電気化学検出器を組み合わせたHPLCを用いて解析する。酸化した血清を、ゲルろ過やイオン交換クロマトグラフィーを組み合わせて分離・分画する。 水溶性のラジカル開始剤2,2'-azobis-[2-(2-imidazolin-2-yl)propane]dihydrochloride(AIPH)、5mMで37℃、8時間ヒト血清を酸化した。その血清を現有化学発光・電気化学検出器を組み合わせたHPLCシステムで解析した結果、血清中におけるビタミンEやビタミンCなどの抗酸化物質の減少、コレステロールエステルヒドロペルオキシドなどの脂質過酸化物の増加およびカルボニル蛋白質の増加が認められた。作成した酸化血清についてAKTAクロマトグラフィーを用いてゲルろ過で分画し、生成した酸化生成物を分離した。脂質過酸化物は高分子画分に、カルボニル蛋白質は60kDa付近にピークが認められた。同分画サンプルをバイオアッセイ系に添加するサンプルとした。 2.酸化血清中の細胞傷害因子の同定 酸化した血清の各分離画分を96穴プレートに分注し、培養細胞に添加する。培養細胞としては、ヒトの正常細胞であるヒト動脈内皮細胞(HAEC)やヒト動脈平滑筋細胞(AoSMC)を用いる。各画分を添加して、24〜72時間反応後,生細胞数をMTT法で測定する。バイオアッセイ系を指標に、酸化により生成する細胞傷害因子を探索・同定する。 酸化血清の分離画分をHAECやAoSMCに添加した結果、過酸化脂質などが含まれる高分子画分において、生細胞数の変化が認められた。このような変化は、未酸化の血清では認められなかった。生細胞数の変化上過酸化脂質のピークが一致し、また脂質を除いたLipoprotein deficient Seram(LPDS)では、生細胞数の変化が認められなかった。以上の結果から、HAECやAoSMCに対するの酸化血清中の主要なエフェクターとして、酸化リポタンパク質が機能する可能性が考えられた。今後、リポタンパク質のクラスの同定を行うとともにぐ血清での測定系の構築を目指していきたい。
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