2005 Fiscal Year Annual Research Report
酸化血清中に存在する細胞傷害因子の探索-新規酸化ストレスマーカーの同定を目指して
Project/Area Number |
16790079
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
斎藤 芳郎 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンストレスシグナル研究センター, 研究員 (70357060)
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Keywords | 酸化ストレス / 酸化リポタンパク質 / 過酸化脂質 / 酸化ストレスマーカー / カルボニルタンパク質 / ヒト動脈内皮細胞(HAEC) / ヒト平滑筋細胞(AoSMC) / 接着分子 |
Research Abstract |
1.酸化血清中の血管細胞増殖因子の同定 前年度の結果から、酸化血清中に含まれる過酸化脂質が主要な血管細胞増殖因子として機能する可能性が考えられた。このことを証明するため、脂質を除去した血清(Lipoprotein Deficient Serum以下LPDS)を作成し検討した。 ヒト血清にKBrを加え、超遠心を行い、上層にリポタンパク質画分を、下層にLPDS画分を得た。透析して得られたLPDSをラジカル酸化剤を用いて酸化し、酸化LPDSを作成し、AKTAクロマトグラフィーを用いてゲルろ過で分離した。分離したフラクションを、前年度確立したバイオアッセイ系で評価した。48穴プレートに、ヒト動脈内皮細胞(HAEC)やヒト動脈平滑筋細胞(AoSMC)などのヒト由来血管細胞を播種し、分離したフラクションをくわえた。各画分を添加して、24〜72時間培養後、生細胞数をMTT法を用いて測定した。その結果、高分子画分に認められた増殖因子が消失した。さらに、低比重リポタンパク質(LDL)を同様に酸化し、得られた酸化LDLを血管細胞に添加した結果、類似の細胞増殖が認められた。以上の結果から、酸化血清中の主要な細胞増殖因子は、酸化LDLに由来することがわかった。酸化ストレスと動脈硬化との関係において、重要な知見が得られた。酸化LDLの測定系に関しは、当ヒューマンストレスシグナル研究センターの酸化脂質ストレスマーカーtHODE、t7-OHChとの相関性について検討を行っている。また、これまで我々の研究室で認められた酸化LDL添加により当電点が変化するタンパク質の解析を行っている。 2.接着分子の発現に及ぼす影響 さらに、酸化血清の作用について、細胞表面への接着分子の発現に及ぼす影響について解析した。方法は同一で、得られた酸化血清フラクションを血管細胞に添加後、フローサイトメーターを用いて接着分子の発現量を定量した。その結果、生細胞数への影響とは異なるとこにピークが認められた。今後、この分子の同定を行っていきたい。
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