2004 Fiscal Year Annual Research Report
脳機能不全治療薬を指向した新規セロトニン誘導体の合成とアルカロイド合成への応用
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16790081
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山田 康司 金沢大学, 自然科学研究科, 助手 (80272962)
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Keywords | セロトニン / 1,2,3,4-テトラヒドロ-6-ヒドロキシ-β-カルボリン / 3,4,5,6-テトラヒドロ-7-ヒドロキシ-1H-アゼピノ[5,4,3-cd]インドール / アセトアルデヒド / 1-ヒドロキシインドール |
Research Abstract |
酸性条件下で、セロトニンがアセトアルデヒドと反応して、神経毒性のある1,2,3,4-テトラヒドロ-6-ヒドロキシ-β-カルボリン体(THβC)になることが知られ、パーキンソン病の一つの要因であると考えられている。 世界で初めて我々は、新規な3,4,5,6-テトラヒドロ-7-ヒドロキシ-1H-アゼピノ[5,4,3-cd]インドール体(THAI)が、セロトニンをアセトアルデヒドと塩基性条件下反応させた際に生成することを発見した。したがって、お酒を飲むと、大脳神経系において、THβCに加えて、THAIの生成が示唆され、THAIが神経細胞の壊死、アルツハイマー病と関連している可能性を早急に解明する必要が生じた。 本年度は、薬理試験に必要な各種の新規なTHAI誘導体を合成する手法の確立を目指した。先ず1-ヒドロキシインドールの化学を利用してトリプタミンから6工程、通算収率27%によるグラムスケールでのセロトニンの大量合成法を確立することに成功した。さらに代表的な直鎖脂肪酸とセロトニンを縮合しアミド体とし、LiAlH_4で還元して、炭素数5および16のNbアルキル側鎖を有するセロトニン体を合成した。両化合物をアセトアルデヒドと反応させたところ、高収率でTHAI誘導体を与えた。またアルデヒドをデカナールに変えても、THAI体が生成し、閉環に際しアルキル側鎖間の立体障害効果はほとんどないことがわかった。また、THβC誘導体は全く生成しないこともわかった。本法を一般合成法として、今後、更なる誘導体合成への展開へと計画している。 一方、Et_3Nが酸素雰囲気下、アセトアルデヒド等価体として働き、セロトニンと反応してTHAI誘導体を与える事も見出し、さらに反応条件を検討した結果、得られるTHAI誘導体の収率を55%まで改善出来た。今後、反応機構の解明を行う予定である。
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