2004 Fiscal Year Annual Research Report
分子シャペロンによるチロシナーゼ活性化の構造生物学的解析とコスメトロジーへの応用
Project/Area Number |
16790083
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
的場 康幸 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (90363051)
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Keywords | 構造生物学 / 創薬 / チロシナーゼ / X線結晶構造解析 / シャペロン |
Research Abstract |
申請者の所属する研究室では、本研究課題が開始された平成16年度以前に、メラニン色素産生能を有する放線菌から本色素産生遺伝子のクローニングに成功していた。この遺伝子は、チロシナーゼをコードする遺伝子(tyrC)と、そのすぐ上流に位置する遺伝子(orf378)とでオペロンを形成している。これまでの研究成果から、orf378遺伝子産物(ORF378)は銅を受け渡すことで、本チロシナーゼ(TYRCと命名)を活性型に変換する役割を担う新規な分子シャペロンであると推定できる。本研究では、放線菌チロシナーゼの三次元構造をX線結晶構造解析の手法を用いて明らかにするとともに、得られた構造情報を用いて新規チロシナーゼ阻害物質を開発することを目的とする。 まず、TYRCの三次元構造を明らかにするために、TYRC単体の結晶化を試みたが成功にはいたらなかった。その一方で、分子シャペロンORF378と複合体を形成したTYRCは容易に結晶化することが判明した。そこで、平成16年度は、TYRC/ORF378複合体結晶を種々の重原子試薬で誘導体化し位相決定を試みた。その結果、水銀と金誘導体を用いた重原子同型置換法により本結晶構造を決定することに成功し、また、1.2Å分解能という極めて高い分解能で精密化することができた。 本構造中にはTYRCの活性発現に必要な銅イオンが含まれていない。そこで、結晶中に銅イオンをソーキングすることで、分子内の銅イオン結合部位を明らかにすることができた。TYRCの活性中心には、2つの銅イオンが結合し、それらはおよそ4Å離れて位置していた。また、それぞれの銅イオンは、3つのヒスチジン残基由来のNε原子と配位結合していた。現在、この三次元構造をもとに新規チロシナーゼ阻害物質を開発することを試みている。
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[Journal Article] Self-protection mechanism in D-cycloserine-producing Streptomyces lavendulae. Gene cloning, characterization, and kinetics of its alanine racemase and D-alanyl-D-alanine ligase, which are target enzymes of D-cycloserine.2004
Author(s)
Noda M, Kawahara Y, Ichikawa A, Matoba Y, Matsuo H, Lee DG, Kumagai T, Sugiyama M.
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Journal Title
Journal of Biologics Chemistry 279(44)
Pages: 46143-46152
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