2004 Fiscal Year Annual Research Report
脳特異的なエネルギー代謝を担うヘキソキナーゼの機能制御機構解析と痴呆治療への応用
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16790085
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
橋本 満 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助手 (80359968)
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Keywords | ヘキソキナーゼ / ADP / ATP透過担体 / ミトコンドリア |
Research Abstract |
1.ラット脳に発現しているI型ヘキソキナーゼのcDNAを,PCRを用いたmutagenesisにより,開始コドン及び終止コドンだけを除去した配列に改変し,N末端にPelB配列,C末端にポリヒスチジン配列をつけることが可能な,pET-22dベクターに組み込み,大腸菌の培養液中に分泌され,培養液から金属キレートカラムで,簡単に精製できる発現系を構築し,1Lの大腸菌培養液から,10〜20mg程度の発現タンパク質を精製できるシステムを確立した. 2.精製した酵素は,過去の報告で結合できるとされたラット肝臓ミトコンドリアにはほとんど結合しなかったが,グルコース6リン酸処理にて結合ヘキソキナーゼを除去したラット脳ミトコンドリアには,十分な結合が観察された.この結果は,ミトコンドリアの本酵素の結合部位であるポーリンの脳と肝臓で発現しているアイソザイム異なっているためではないかと考えられる.現在,ラット各ポーリンアイソザイムを特異的に発現する酵母株を作成中である. 3.ラット脳細胞質を各種カラムで画分化し,ヘキソキナーゼをミトコンドリアに結合させる物質の同定を試みたが,in vitroでは,結合を促進する物質を発見できなかった. 4.ヘキソキナーゼーポーリンと複合体を形成するミトコンドリア内膜のADP/ATP透過担体はN-ethylmaleimide (NEM)により阻害を受け,これが複合体の構造変化を起こすと考えられている.そこでNEMの結合部位Cys56の機能的役割について,部位特異的変異解析を行った.その結果,基質輸送の際,Cys56付近の配列が起こすヘリックス-ランダムコイル構造変換に対しNEMが立体障害を起こして阻害していることが強く示唆された.
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Research Products
(1 results)