2004 Fiscal Year Annual Research Report
新規な肥満・糖尿病制御要因:外来異物による脂肪組織Ah受容体活性化機構の研究
Project/Area Number |
16790088
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
吉成 浩一 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (60343399)
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Keywords | チトクロムP450 / 白色脂肪組織 / 脂溶性化学物質 / 酵素誘導 / 芳香族炭化水素受容体 / 異物代謝 / エネルギー代謝 / 糖尿病 |
Research Abstract |
ダイオキシンなどのある種の脂溶性化合物は、代謝を受けにくく脂肪組織に蓄積しやすいことが知られている。これら化学物質の内分泌攪乱作用に関する研究は多数報告されているのに対し、脂肪組織に対する直接的な影響については解析されていない。白色脂肪組織は、多くの生理活性物質(アディポサイトカイン)を分泌する内分泌器官であると共にトリグリセリドの主要な貯蔵臓器であり、生体の脂質・糖質ホメオスタシスに重要な役割を果たしていることから、脂溶性化合物の曝露により脂質・糖質代謝が影響を受ける可能性が考えられる。本研究では、脂溶性のチトクロムP450(CYP)誘導剤による脂肪組織におけるCYP誘導作用、ならびに芳香族炭化水素受容体(AhR)リガンドであるβナフトフラボン(βNF)の脂質・糖質代謝関連遺伝子発現に対する影響について解析した。その結果、脂溶性CYP誘導剤は白色脂肪組織においても肝と同様にCYPを誘導することが明らかとなった。さらに、βNFを用いてそのCYP1A1誘導機構について解析し、白色脂肪組織におけるCYP1A1誘導も肝と同様にAhRを介していることを示唆する結果を得た。また、脂質・糖質代謝に関連する約100個の遺伝子について、βNF処理に伴う白色脂肪組織mRNAレベルの変動を定量的PCRにより測定した結果、既知のAhR標的遺伝子であるplasminogen activator inhibitor-1に加え、これまでAhRの標的遺伝子とは考えられてはいなかったいくつかの遺伝子の発現レベルが変動することを見出した。今後は、サブトラクション法によりさらなる未知遺伝子の探索を行なうと共に、ダイオキシン曝露と糖尿病発症の関連性が疫学的に指摘されていることから、今回得られた結果を元にAhRリガンドが脂質・糖質ホメオスタシスに及ぼす影響について個体レベルで解析を進めていく予定である。
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Research Products
(1 results)