2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16790089
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
宇野 茂之 日本大学, 医学部, 助手 (90307851)
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Keywords | cvtochrom P450 / CYP1A1 / CYP1A2 / CYP1B1 / ベンゾ[a]ピレン |
Research Abstract |
BaPなどの多環芳香族炭化水素(PAHs)は、肺ガンなどの悪性腫瘍や動脈硬化性疾患などの発症に関与している。PAHsは、そのものの毒性よりも、多環芳香族受容体を介して誘導される生体異物代謝系酵素群(CYP1ファミリー:CYP1A1、CYP1A2、CYP1B1)による代謝活性化が毒性発現に重要であると考えられているが、生体内における代謝活性化機構、代謝産物による毒性発現分子機構などは、まだ十分には解明されていない。本研究では、BaPが誘導する毒性発現分子機構へのCYP1ファミリーの役割を解明することを目的とする。 1.Cyp1ファミリー遺伝子欠損マウスにおけるBaP誘導免疫、骨髄毒性について BaPを経口投与したCyp1a1欠損マウスにみられる胸腺、脾臓の萎縮、骨髄の毒性は野生型マウス、Cyp1a2、Cyp1b1欠損マウスでは認めなかった。興味深いことに、野生型マウス、のCyp1a2、Cyp1b1欠損マウスに比し、Cyp1a1欠損マウスの各臓器においてBaP誘導性DNA adductsが劇的に増加した。Cyp1a1欠損マウスで観察された毒性はCyp1a1/1b1ダブル欠損マウスで抑制された。 2.Cyp1a1欠損マウスにおけるBaPの胎児への影響について BaPを経口投与したCyp1a1ホモ欠損マウスの胎児にみられる毒性はCyp1a1ヘテロ欠損マウスでは観察されなかった。血液中のBaP濃度はCyp1a1ヘテロ欠損マウスの胎児に比し、Cyp1a1ホモ欠損マウスの胎児において有意に増加していた。 3.Cyp1a1/1a2ダブル欠損マウスの作製 ターゲット遺伝子のキメラマウスの作製が終わり、現在、Creリコンビナーゼによるダブル欠損マウスの作製に取り掛かっている。 これらの結果はBaPの経口投与が誘発した毒性において、導誘されたCYP1A1が毒性の抑制や解毒において極めて重要であることを示唆しており、今後更なる検討を行う予定である。
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