2004 Fiscal Year Annual Research Report
脳関門におけるABCG2の生理的役割と活性制御機構の解明
Project/Area Number |
16790098
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
堀 里子 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (70313145)
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Keywords | ABCG2 / 血液脳関門 / 17β-Estradiol / 非ステロイド性抗炎症薬 / Aktキナーゼ / 星状膠細胞 / bFGF / 脳毛細血管内皮細胞 |
Research Abstract |
申請者はこれまでに、薬物排出輸送担体であるABCG2がラット血液脳関門(BBB)の血液側膜に発現していることを見いだした。しかし、BBBにおけるABCG2の機能、および制御機構は不明である。そこで、本研究はBBBにおけるABCG2の生理的役割と活性制御機構の解明を目的とした。星状膠細胞培養上清およびbFGFによって脳毛細血管内皮細胞(BCEC)におけるAktキナーゼのリン酸化が誘導されることが明らかになった。Aktキナーゼ活性化はABCG2の細胞膜局在量を増大させる。従って、bFGFをはじめとする星状膠細胞由来のAktキナーゼ活性化因子は、ABCG2タンパクの細胞膜移行量の増加を介してABCG2輸送活性を誘導していることが示唆された。さらに、BCECにおけるABCG2の発現は女性ホルモンである17β-estradiol処理によって誘導された。以上から、BBBにおけるABCG2の発現は脳内環境(星状膠細胞分泌因子)だけでなく、血中の内因性化合物によっても制御されることが示唆された。さらに、BBBから単離したラットABCG2遺伝子導入発現株を用いて、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)がABCG2の阻害剤となることを見いだした。これらの薬物は、脳移行性が低いことから、ABCG2がBBBにおいてNSAIDsの脳移行を制限している可能性が考えられる。本研究成果の一部はドイツで開催されたBBBシンポジウムにて発表し、「The best poster presentation award」を受賞した。
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