2004 Fiscal Year Annual Research Report
リンパ組織指向性を付与した樹状細胞の創製と癌免疫療法への応用
Project/Area Number |
16790114
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
岡田 直貴 京都薬科大学, 薬学部, 助手 (90312123)
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Keywords | 樹状細胞 / 癌免疫療法 / アデノウイルスベクター / 遺伝子導入 / ケモカインレセプター / 腫瘍関連抗原 / 体内動態制御 / 腫瘍免疫 |
Research Abstract |
樹状細胞(DC)は生体内で最も強力な抗原提示細胞であり、DCをワクチン担体として用いた細胞免疫療法が次世代癌治療戦略として期待されている。本療法において有効な治療効果を引き出すためには、投与したDCワクチンを免疫応答誘導の場であるリンパ組織へと効率よく集積させることが重要である。DCの末梢組織からリンパ組織への移行は、炎症反応や抗原認識によってDCに発現誘導されるCC chemokine receptor-7(CCR7)がリンパ組織で分泌されているCC chemokine ligand-21(CCL21)に応答することによって誘発される。そこで本研究では、DCへの遺伝子導入効率に圧倒的に優れるRGDファイバーミュータントアデノウイルスベクターを応用して、CCR7遺伝子を導入したDC(CCR7/DC)の免疫学的特性を解析するとともに、癌免疫療法におけるワクチン担体としての有用性を検証した。 CCR7/DCはベクター用量依存的にCCR7発現レベルを増大し、CCL21に対する高い遊走活性を示した。また、CCR7/DCはT細胞増殖刺激能といった抗原提示細胞としての機能を保持しており、マウスに投与した際には所属リンパ節への効率的な集積が観察された。さらに、腫瘍関連抗原とCCR7とを共導入したDCをワクチン投与したマウスにおいては、腫瘍関連抗原のみを導入したDCと比較して少ない投与細胞数で効果的な腫瘍免疫を誘導することができた。本成果は、CCR7/DCがリンパ組織集積性の改善に基づいてDC癌免疫療法の有効性を増強しうるワクチン担体であることを示している。今後、CCR7/DCを腫瘍内投与することにより誘導される抗腫瘍効果および免疫応答を解析することにより、ワクチンプロトコールのみならず治療プロトコールにおいてもCCR7/DCが癌免疫療法において優れた有効性を発揮するCell Vehicleであることを実証したいと考えている。
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Research Products
(1 results)