2005 Fiscal Year Annual Research Report
リンパ組織指向性を付与した樹状細胞の創製と癌免疫療法への応用
Project/Area Number |
16790114
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
岡田 直貴 京都薬科大学, 薬学部, 助手 (90312123)
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Keywords | 樹状細胞 / 癌免疫療法 / アデノウイルスベクター / 遺伝子導入 / ケモカインレセプター / 腫瘍関連抗原 / 体内動態制御 / 腫瘍免疫 |
Research Abstract |
樹状細胞(DC)は未感作T細胞を抗原特異的に活性化できる唯一の抗原提示細胞であることから、免疫療法・ワクチン開発における抗原分子送達の標的細胞として注目されている。とりわけ、生体外に取り出した前駆細胞から分化誘導したDCに腫瘍関連抗原(TAA)を導入し、これをワクチン担体として癌患者に投与する細胞免疫療法は、有望な次世代癌治療戦略として世界的に研究が進められている。本療法において有効な治療効果を引き出すためには、投与したDCワクチンを免疫応答誘導の場であるリンパ組織へと効率よく集積させることが重要である。そこで本研究では、DCのリンパ組織移行に深く関与するケモカインレセプター(CCR7)に着目し、CCR7遺伝子を効率よく導入したDC(CCR7/DC)のワクチン機能の解析を行った。 平成16年度においては、マウスに投与したCCR7/DCが効率良くリンパ節に集積することを明らかとし、CCR7とTAAとを共導入したDCワクチンは、TAA単独導入DCワクチンと比較して、より少ない投与細胞数で効果的な腫瘍免疫を誘導できることを実証した。そこで本年度は、定着腫瘍に対する治療プロトコールにおけるCCR7/DCの有用性を検証するために、マウス皮内に生着させたB16BL6メラノーマ(直径7-9mm)にCCR7/DCを投与した際のリンパ節移行性および抗腫瘍効果について解析した。まず、腫瘍組織(投与部位)から所属リンパ節への集積性については、コントロールベクター適用DCあるいは未処理DCと比較して、CCR7/DCで明らかな亢進が認められた。しかしながら、CCR7/DC投与腫瘍の増殖に関しては、コントロールDC投与群と同程度の抑制効果しか認めることができず、増殖の速い固形腫瘍に対してCCR7/DCは満足な有効性を発揮できないことが判明した。
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