2004 Fiscal Year Annual Research Report
肝oval cell(幹細胞)の同定・分離と分化・増殖機構の分子細胞生物学的研究
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16790124
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
後藤 邦仁 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (10362716)
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Keywords | oval cell / 肝再生 / オートファジー |
Research Abstract |
1.実験動物モデルの作成 ラットに2-acetylaminofluorene(2-AAF)を5日間経口投与し、5日目に70%肝切除を行った。2-AAFについては術後4日間投与を継続した。肝切除術後1日、3日、5日、7日、10日、14日目にラットを擬死させ、残存する肝臓を摘出した。 2.形態学的解析 摘出した肝臓を固定し、凍結およびパラフィン標本を作成した。oval cellのマーカー蛋白の一つであるCK19に対する抗体を用いて免疫染色をおこなったところ、肝切除3日後に門脈周囲に小型で円形のCK19陽性細胞を少数認め、その後時間経過とともに同細胞が管腔を形成しながら肝実質内に放射状に広がっていくことを確認した。近年、オートファジー関連遺伝子の発見により、この現象を分子レベルで解析することが可能になり、オートファジーが細胞内の古くなった構成成分を分解し再利用する経路というだけではなく、ストレス環境下において細胞の分化や死などにも関与することが分かってきた。そこでオートフォゴソームのマーカー蛋白であるLC3とCK19の二重染色を行ったところ、LC3陽性顆粒は特に管腔形成をしているCK19陽性細胞およびその周囲の細胞に多く認められ、その数は時間経過とともに増加した。また透過電子顕微鏡を用いて超微形態を観察したところ、肝切除5日後の切片において管腔形成をしている細胞の周囲の肝細胞中に多くのオートファゴソームを認め、7日後にはいくつかの管腔形成をしている細胞中にも認められた。さらにオートファゴソームを多く持つ細胞が隣接する細胞に貪食されている像もしばしば観察され、オートファジーがoval cellを介した肝再生において細胞の死あるいは分化に関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)