2004 Fiscal Year Annual Research Report
nACh受容体/Na^+チャネルの遺伝子異常に起因するてんかんの発症調節物質の特定
Project/Area Number |
16790132
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
木村 良一 弘前大学, 医学部, 助手 (20343022)
|
Keywords | α7-ACh受容体 / γオッシレーション / 海馬 / methyllycaconitine / ニコチン / 認知機能 |
Research Abstract |
海馬でみられるγオッシレーションは学習や記憶、注視行動に関係すると言われている。一方、海馬ニューロンにはα7-nACh受容体が大量に発現しており、海馬ニューロンの機能調節や学習、記憶に重要な役割を担っていることが推測されるものの、その生理作用についてはいまだ明確ではない。そこで、このγオッシレーションにα7-nACh受容体がどのように関わっているかを、ラット海馬のスライス標本を用いて検討した。 研究では、スライス標本にテタヌス刺激によるγオッシレーションを誘発し、それにa7-nACh受容体とnon-a7-ACh受容体にそれぞれの選択生の高いブロッカーを投与し、その影響をみた。 その結果は、α7-nACh受容体に対して比較的選択性の高いブロッカーであるmethyllycaconitine(10,100 nM)およびα-bungarotoxin(10 nM)はγオッシレーションの発火数を低下させた。一方、non-α7-ACh受容体に選択性の高いmecamylamineやdihydro-β-erthroidineはいずれもγオッシレーションに対して効果を示さなかった。また、ニコチンを投与するとγオッシレーションが誘発され、このオッシレーションはmethyllycaconitineで抑制された。 以上の結果から、海馬ニューロンのa7-nACh受容体はγオッシレーションの発生に重要な役割を担っていることが明らかになった。このような役割を介して、α7-nACh受容体は学習や記憶、注視行動など脳の認知機能を調節する役割を果たしていると考えられる。
|