2004 Fiscal Year Annual Research Report
スリット走査式顕微鏡によるシナプス小胞の開口放出反応の機構解明
Project/Area Number |
16790134
|
Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
櫻井 孝司 国立大学法人浜松医科大学, 光量子医学研究センター, 助手 (50283362)
|
Keywords | 薄層斜光照明 / 全反射照明 / シナプス小胞 / FM1-43 / insulin-GFP |
Research Abstract |
平成16年度は当該研究において、1)薄層斜光照明の構築、2)照明の評価、ならびに3)単一シナプス小胞の可視化を行った。はじめに既存の光学切断法(光走査法)では解像が困難であった空白領域(100〜1000nm)の対象を扱うために、薄層光学系の設計を行った。連続波レーザー光束をスリットで回折限界まで狭め、開口数1.65対物レンズにて約1ミクロン幅の薄層光を発生させた。この薄層光照明によって得られる蛍光像の信号比(S/N比)の評価を直径数十nmの蛍光ビーズや量子ドットを標本として測定した。薄層光の傾斜角度をガラス面に対して3度とすることで、蛍光信号のS/N比が最大となった。次にこの薄層斜光照明法を用いて蛍光色素(FM1-43)や、蛍光タンパク質(insulin-GFP)で標識化された単一分泌小胞の追跡を行った。照明角度を変えながら細胞内の蛍光分布を測定したところ、斜光照明と全反射照明の両モードで分泌顆粒は単一のスポットとして検出することができた。脱分極で細胞を刺激するとスポットは開口放出反応を反映する急激な輝度の変化を示した。また分泌顆粒の移動、膜への接着、開口放出といった、分泌過程における一連のダイナミクスが斜光照明により追跡可能であることがわかった。以上のように、薄層斜光照明法は全反射照明法と同程度の高い空間分解能を保持したまま、共焦点法と同程度の領域における光走査を実現できることが示された。また単一のシナプス小胞が可視化できること、ならびに分泌過程の連続追跡が示された。
|