2005 Fiscal Year Annual Research Report
スリット走査式顕微鏡によるシナプス小胞の開口放出反応の機構解明
Project/Area Number |
16790134
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
櫻井 孝司 浜松医科大学, 光量子医学研究センター, 助手 (50283362)
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Keywords | 薄層斜光照明 / 全反射照明 / シナプス小胞 / FM1-43 / insulin-GFP / エンドサイトーシス / ファイバー式顕微鏡 |
Research Abstract |
平成17年度は当該研究において、1)薄層斜光照明の光学評価、2)インスリン含有小胞やシナプス小胞の追跡、ならびに3)生体内への応用を行った。はじめに薄層光の分布や空間分解能を解析した。幅1ミクロン程度の薄層光を発生させ、ガラス面から3度傾斜させたところ、ガラス面から1ミクロン以内に存在する蛍光分子の信号S/N比が最大となり、単一蛍光分子が解像できた。次に培養海馬神経細胞に標識した蛍光色素(FM1-43)や、グルコース感受性細胞株(MIN6)において強制発現した蛍光タンパク質(insulin-GFP)の追跡を行った。海馬の神経終末において刺激依存的な蛍光強度の上昇が検出でき、直径1〜2ミクロンのスポットが多数観察され、エンドサイトーシス反応を反映していた。MIN6細胞においてインスリン含有顆粒は単一のスポットとして検出され、脱分極依存性に開口放出反応を反映する急激な輝度の変化を示した。開口放出だけでなく、その直前における分泌顆粒の移動や膜への接着も観察できた。以上の結果より、エンドサイトーシス反応やエキソサイトーシス反応における大部分のダイナミクスを薄層斜光照明により解析可能なことが示された。薄層斜光照明法は全反射照明法と同程度の高い空間分解能を保持したまま、共焦点法と同程度の領域における光走査を実現でき、ガラス面より1ミクロン離れた領域において特に有効な手法だと結論した。また、ファイバー法と組み合わせることにより、生体内における分泌小胞の追跡が原理的に可能であることが見出せた。
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Research Products
(7 results)