2005 Fiscal Year Annual Research Report
膵臓外分泌細胞に存在するKチャネル蛋白の構造機能協関
Project/Area Number |
16790140
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
林 美樹夫 関西医科大学, 医学部, 助手 (10368251)
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Keywords | イオン輸送 / 重炭酸イオン / 内向き整流性Kチャネル / 膵臓導管細胞 / パッチクランプ法 |
Research Abstract |
膵臓導管細胞に機能発現する内向き整流性Kチャネル(Kir)の分子基盤を明らかにするため、その電気生理学的性質を調べた。ラット膵臓導管細胞新鮮分離標本にパッチクランプ法を適用し、ホールセル電流を測定した。そのKir電流は細胞外K^+濃度依存性にコンダクタンスが増加し、その傾きは0.44であった。また逆転電位はK^+選択性ポアーを想定した値に近い関係を示した。このKir電流の活性化には細胞内ATP依存性は認められなかった。非刺激状態の膵臓導管細胞のセルアタッチパッチクランプにおいて、Kirを含めてコンダクタンスが約30-100pSまでの少なくとも3種類の単一チャネル電流が認められた。非刺激状態でKir電流が観察されたことから、Kirは静止膜電位を過分極側に維持できることが示唆された。以上の機能的性質はKir2のファミリーと類似していた。この結果をもとに、ラット膵臓から精製したmRNAを用いたRT-PCR法を試みたところ、Kir2.1、Kir2.2およびKir2.4の発現を認めた。膵臓導管細胞ではこれらの分子がホモまたはヘテロで機能的チャネルを構成している可能性が示唆された。これらの結果は重炭酸イオン分泌上皮である反芻動物耳下腺腺房細胞に存在するKirと類似していた。これらの上皮細胞に機能発現するKirは静止膜電位を過分極側に維持することで、管腔側および基底外側細胞膜における重炭酸イオン輸送の駆動力維持に貢献している可能性がある。
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