2006 Fiscal Year Annual Research Report
膵臓外分泌細胞に存在するKチャネル蛋白の構造機能協関
Project/Area Number |
16790140
|
Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
林 美樹夫 関西医科大学, 医学部, 助手 (10368251)
|
Keywords | イオン輸送 / 重炭酸イオン / 内向き整流性Kチャネル / 膵臓導管細胞 / パッチクランプ法 |
Research Abstract |
膵臓導管細胞に機能発現する内向き整流性Kチャネル(Kir)の分子基盤を明らかにするため、ラット膵臓導管細胞新鮮分離標本にセルアタッチパッチクランプ法を適用し単一チャネル電流の性質を調べた。非刺激状態において単一チャネルコンダクタンスが40pS、55pS、108pSおよび180pS(Maxi-K)の4種類のチャネル電流を認め、その出現頻度はそれぞれ40%、20%、40%および30%であった。このうち40pSのチャネルは内向き整流性Kチャネル(Kir2.1)の開閉パターンと類似した。55pSおよび108pSのチャネルはCa依存性Kチャネル(SK4/IK1)と類似した。Maxi-Kチャネルは細胞外液にセクレチンを加えると、チャネル開確率が増加した。ラット膵臓mRNAを用いたRTPCR法により、Kir2.1、Kir2.2、Kir2.4およびKir4.2の発現を認めたが、Kir1.1とKir2.3の発現は認められなかった。これらのKirの分子クローニングを試みたところ、それらの一次構造は報告されているものとほぼ一致した。免疫組織化学法により導管細胞の管腔側および基底外側細胞膜にKir2.1の発現を認めた。以上の結果から、膵臓導管細胞ではKjr分子がホモまたはヘテロで機能的チャネルを構成し、静止膜電位の維持に役割を果たす可能性が示唆された。また、SK4/IK1様チャネルおよびMaxi-Kチャネルは唾液腺腺房細胞に機能発現するものと類似していた。これらのチャネルは分泌刺激により活性化することで、膵液分泌の駆動力維持に貢献している可能性がある。
|