2004 Fiscal Year Annual Research Report
高分子量Gタンパク質mOPA1によるミトコンドリア形態変化機構の細胞生理学的解析
Project/Area Number |
16790141
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
三坂 巧 生理学研究所, 分子生理研究系, 助手 (40373196)
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Keywords | GTP結合タンパク質 / ミトコンドリア / 視神経萎縮症 |
Research Abstract |
マウス脳の神経細胞において高発現している新規高分子量GTP結合タンパク質(mOPA1)は、そのヒトにおける相同遺伝子の欠損により遺伝性の視神経萎縮症が引き起こされることより、神経細胞の生存、維持に関する機能を果たしていることが示唆される。今年度はmOPA1の遺伝子導入によるミトコンドリア形態変化機構について、培養細胞を用いた発現系を用いて解析を行った。 mOPA1は遺伝子導入したCOS-7細胞内においてミトコンドリアに局在し、その過剰発現により、Tube状のミトコンドリアは断片化し、小さな棒状もしくはリング状に変化した。mOPA1のミトコンドリア内における局在を、膜間部分およびマトリックスのマーカーとともに観察したところ、小さなリング状になったマトリックスの一端に、mOPA1および膜間部分マーカーがVesicle状の局在を示している様子が認められた。さらに免疫電顕による解析により、mOPA1を発現する細胞においてはミトコンドリア内膜の特徴的なひだ構造が消失し、凝集して片寄った分布をしていることが判明した。以上得られた結果より、mOPA1は遺伝子導入した細胞内において、ミトコンドリア内膜に何らかの作用を与えることによりミトコンドリア全体の形態に影響を与え、ミトコンドリア断片化を導いていることが示唆された。 またGTP結合モチーフに変異を導入し、GTP結合能が消失することが期待される変異体(K301A)の遺伝子導入によるミトコンドリア形態変化についても検証した。この場合、ミトコンドリア断片化は依然として観察されたものの、mOPA1および膜間部分マーカーがマトリックスマーカーから乖離する様子が認められなくなった。これより、本解析によって認められたミトコンドリア内膜の形態変化にmOPA1のGTP水解エネルギーが強く関与していることが示唆された。
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