2004 Fiscal Year Annual Research Report
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16790142
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
岡野 聡 山形大学, 遺伝子実験施設, 助手 (60300860)
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Keywords | ヘム / 時計遺伝子 / 概日リズム / Cryptochrome(CRY) / Period(PER) / トランスジェニックマウス / 5-アミノレブリン酸合成酵素(ALAS) / リアルタイムPCR |
Research Abstract |
時計遺伝子産物CRYのアミノ酸配列中にヘム結合モチーフを見い出したので、ヘムが生物リズムの制御因子としていかに機能するかを明らかにする目的で研究を行った。それぞれCRY1、及びヘム結合モチーフに変異を導入したCRY1(CRY1-AP)を全身的に発現するトランスジェニックマウス(CRY1 Tg及びCRY1-AP Tg)を、各々複数ライン作製した。CRY1 Tgマウスの複数のラインでの、肝臓および種々の臓器での時計遺伝子PER1、PER2及び種々の出力系遺伝子(ALAS-N、ALAS-E及びDBP)のmRNAの日周変動をリアルタイムPCRで調べ、CRY1過剰発現がもたらすこれらの遺伝子の概日発現の異常とその効果の違い(PER1は日周変動の振幅が大きくなり、PER2及びALAS-N、ALAS-E、DBPはピーク時の発現が減少し、振幅が小さくなる傾向がある事)を明らかにした。また、CRY1-AP TgマウスにおいてALAS-Nの発現を調べたところ、CRY1 Tgで観察された場合と同様の異常な発現が観察され、さらに確かな結論を得るべくデータの蓄積をはかっている。また、ヘム生合成系の酵素であるALAS-Nは、既に日周変動が報告されている肝臓以外に、副腎においても顕著に日周変動する事を明らかにした。このことは、肝臓と副腎の機能にヘムの日周変動が重要な役割を果たすことを示唆している。さらにALAS-NのGFPノックイン(GFPを挿入する事によりALAS-N遺伝子のコード領域を破壊した)ヘテロ接合体マウスの肝臓で、GFPのmRNAの発現が日周変動する事を示し、マウス体内でのALAS-Nの日周変動はALAS-N遺伝子プロモーター活性の変動による転写制御による事を明らかにした。また、現在CRYの分子機能におけるヘム結合モチーフへの変異の導入の影響をin vitroで解析している。
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