2004 Fiscal Year Annual Research Report
能動性皮膚血管拡張神経と発汗神経の分離・同定の試み
Project/Area Number |
16790143
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
上條 義一郎 信州大学, 大学院・医学研究科, 助手 (40372510)
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Keywords | 低血液量 / 皮膚交換神経活動 / 皮膚血管拡張 / 発汗 / 利尿剤 |
Research Abstract |
平成16年度は、我々が以前運動時のヒトで示した「低血液量時(Low)には深部体温上昇に対する皮膚血管拡張は等血液量(Eu)に比べて抑制されるが発汗反応は抑制されない」という結果に基づき、安静時ヒトでこれらが分離するときの皮膚交感神経活動(SSNA)を測定する目的で、実験プロトコール、測定・データ収録システムを確立した。 1.実験プロトコールの確立:実験は利尿剤を服用する場合(Low)としない場合(Eu)の2条件で行った。被験者は朝7時に実験室で利尿剤を服用し排尿のために3時間待機した後、サーマルスーツを着用し人工気象室(28℃)へ移動した。スーツに34℃の水を流す間に測定準備をし、10分間のベースライン測定後、水温を47℃に設定しさらに40分間データを収録した。Euでは利尿剤を服用する以外は時間配分をLowと同様にした。 2.SSNA測定・収録方法の確立:測定に先立ち、タングステン電極を腓骨神経に留置した。SSNAを高感度増幅器により10000倍に増幅し、700-2000Hzのバンドパスフィルターをかけ、整流・積分化(Tc=0.1sec)した後、200Hzで収録した。今年度我々はEuに皮膚血管拡張や発汗反応の亢進とともにSSNAが増強することを示した(Kamijo et al.J Appl Physiol.2005)。 3.食道温、皮膚血流量、発汗速度の測定・収録方法:深部体温の指標として鼻腔より挿入した熱電対により食道温を30秒毎に測定した。前腕部と腓骨神経の支配領域である足背部で皮膚血流量をレーザー血流計によりモニターした。これは両部位における血流パターンが同一であることを示す目的で行った。さらに前腕部においてカプセル換気法により発汗速度を測定した。これらのデータは200Hzで収録した。今年度我々は運動時と同様、安静時においてもLowに食道温上昇に対する皮膚血管拡張と発汗反応が分離することを確認した。 平成17年度はさらにデータ収録と解析を続け、「Lowに発汗開始時における皮膚交感神経活動の増強に加えて、遅れて生じる皮膚血管拡張時にもSSNAの加算的な増加が見られる」ことを証明する。
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