2004 Fiscal Year Annual Research Report
ガラニンおよびガラニン様ペプチドの睡眠・覚醒機構への関与の解明
Project/Area Number |
16790146
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
藤原 広明 産業医科大学, 医学部, 助手 (10369051)
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Keywords | 断眠 / ガラニン / ガラニン様ペプチド / in situハイブリダイゼーション |
Research Abstract |
私はこれまでにラットを用いてREM断眠後に視床下部視索前野のガラニンmRNAが有意に増加することを明らかにした。ガラニンは覚醒系を抑制する神経ペプチドとして知られている。ガラニンの受容体はGALR1,2,3が同定されている。最近、GALR2に特異的な内因性リガンドとしてガラニン様ペプチド(GALP)が同定された。現在のところ、GALPと覚醒・睡眠機構に関する研究は皆無である。本年度は、ウイスター系成熟雄ラットを用いて6時間の全断眠を行い、視床下部弓状核におけるGALP mRNAの発現量をin situハイブリダイゼーション法により検討した。断眠はラットが睡眠時によく観察されるうずくまりの姿勢およびその類似行動を指標とし、毛筆を用いラットの背部を軽く接触する方法で行った。その結果、6時間の全断眠によりGALP mRNA量は視床下部弓状核において増加する傾向はあるもののコントロール群と比較して有意な増加は見られなかった。また、ストレスの指標として視床下部室傍核小細胞群におけるCRH mRNAの変動を検討した結果、全断眠後もCRH mRNAはコントロール群と比較して有意な変化は見られなかった。したがって、今回用いた全断眠の実験手法はラットにストレス反応を引き起こす可能性が低いことが検証された。今後、全断眠の時間を変えてラット視床下部弓状核におけるGALP mRNAの変動を検討すること、選択的REM断眠でのGALP mRNAの変動を調べることとした。また、サーカデイアンリズムとGALP mRNAの変動について経時的に調べることによりGALPと覚醒・睡眠リズムとの相関を明らかにすることとした。
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