2004 Fiscal Year Annual Research Report
tPAによる脳梗塞治療に伴う血液脳関門の破綻について
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16790152
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
鈴木 康裕 国立大学法人浜松医科大学, 医学部, 助手 (00324343)
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Keywords | tPA / 脳梗塞 / 脳出血 / 血液脳関門 |
Research Abstract |
脳梗塞治療における組織型プラスミノージェン活性化因子(tPA)による脳出血の増加について、プラスミンと比較検討を行った。プラスミンはプラスミノージェンがtPAによって生成される線溶因子であり、大量合成することが困難で、現在採取した血液を生成し利用している。そこでプラスミン誘導体であるマイクロプラスミン(μPli)を用いて比較したところ、μPliが脳出血の危険性が少なかった(Y.Suzuki et al. JTH. 2004)。両薬物は、凝固時間における変化がなかったが、tPA投与によって出血時間、再出血量が有意に増加した。血栓性閉塞による虚血が抹消部位の血管の損傷を引き起こし、脳出血を引き起こすと考えられるが、止血におけるフィブリン形成にtPAは影響を及ぼさない。tPAを静注した場合、血管損傷部位に集積すると考えられおり、血流に循環してくるプラスミノージェンが損傷部位に到達し、tPAによって活性化され、止血されたフィブリン血栓を再溶解するため脳出血を引き起こすと考えられる。しかしながらμPliは静注後、速やかに血中のα2アンチプラスミン結合し損傷部位まで到達しないため脳出血を起こさないと考察した。 また、核磁気共鳴画像診断(MRI)を用いたラット脳梗塞の評価系を確立し、脳梗塞進展・神経症状においてμPliとtPAの比較検討を行ったところμPliは死亡例なく、tPA同等の脳梗塞進展抑制効果を持っていた(Y.Suzuki et al.,Stroke. 2004)。現在、tPAとμPliによる脳出血についてMRIの各イメージと病理標本との相関について検討を行っている。また、C57Bl/6マウスでのエバンスブルー法にてその漏出を測定したところ虚血開始3時間後以内にBBB破綻していた。(N.Nagai, Y.Suzuki et al., JTH, revised)。
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